異端の戦略論
第1回:地変ゼロアレス
2005/11/06なんとなく逆走魂のパクリっぽい雰囲気で立ち上げてみましたこのコーナー。
私のサイトではブックやら戦略論やらの議論は普段は掲示板でやってるんですが、あの掲示板だと過去ログ残らないんで不便だしちょっともったいないかも、てなわけでちゃんとしたコンテンツの形で戦略論を語ってみようかと思いました。
まあ「異端の」なんて銘打ってある以上、当然普通のブックの普通の戦略は取り扱わないので、初心者の方はくれぐれも参考にしない方がよろしいかと思います。
そんなわけで第1回は「地変ゼロアレス」。勝てるのかよ。
1. 地形変化スペルを入れない理由
通常の4人対戦に使用するブックでは、ほとんどのブックに地形変化スペルが4枚前後入っています。なぜそんなに地変スペルを入れるのかというとそれはもちろんそれだけ強いからなわけで、今更この点に異論を唱えるつもりはありません。カルドのゲームシステムでは連鎖倍率が非常に強いので、連鎖数を操作できる地変スペルが強いのは自明の理です。
例外的に、バリア現金輸送等の土地の増資を考えない変則系のブックならば地変スペルが入らないということはありますが、普通にクリーチャーを置いて土地レベルを上げて通行料を取ったり取られたりのスタンダードなブックで地変スペルが入っていないというのは、「御神さん、ワシを、いや、カルドを、馬鹿にしとるのか?」「ワシのブックに、定石などないわ!」「今日の御神さんはおかしい。失礼する」というようなやり取りをしたがっているようなものです。
しかしここで思考停止してしまっては、異端の戦略をひねり出すことなどできません。なんとかして、なぜ地変スペルを入れないのか、その理由をでっち上げてみようと思います。▼土地をたくさん取れれば万事解決
別に地変スペルなしでは連鎖を作れないわけではありません。適当にクリーチャーを置いているだけでも3連鎖ぐらいは勝手にできるものです。仮に1エリアのマップで土地を10個確保した場合、最悪でも3・3・2・2連鎖を組むことが可能です。普通は軽く4連鎖を組めるでしょう。地変スペルがないと連鎖を作れないなんて、ロクに土地を持ってない貧乏人の言うことですよ?▼一端リーチがかかると止まらない(はず)
地変スペルを使った連鎖で増やした資産というのは、言ってみればバブルのようなものです。なので、目標魔力間近に迫ってリーチがかかったときには、地変打ち込みで簡単に止められてしまいます。これを防ぐためには、ランプロを張るなりジェイドを置くなり打ち返し用の地変をキープするなり相手の地変をサプレするなりと、様々な対策を施さなくてはなりません。こんなことにいちいち神経を使わなくても勝てる戦略があるなら、そっちを採用したいものです。
仮に地変スペルを使わずにリーチ状態まで持っていけたならば、なまじ土地を一色に染め上げていないだけに、地変スペルで連鎖を崩すことは困難となるでしょう。バブルの夢などとっくの昔に終わっており、地道にコツコツと積み上げてきた者が勝つのだということを思い知らせることができるのです。▼資金繰りが楽
地変スペルのコストは150Gです。お世辞にも安いとは言えず、序盤は気軽には使えないでしょう。もし序盤にコストの高いクリーチャーを配置した挙句に牛歩でもしようものなら、手札の地変スペルは確実に手札or現魔力を圧迫します。ならばいっそのこと地変スペルなど抜いてしまえば、事故率が減ってプレイングにストレスを感じることもなく、余った魔力でスムーズな増資ができるというものでしょう。
2. アレス採用の理由
地変スペルゼロの理由を納得していただけた(ツッコミ待機モード)ところで、この戦略とマッチするのがアレスである理由の解説に移ります。
なぜアレスなのか。基本的に、地変ゼロの戦略は土地を他人より多く確保しなくてはなりません。ならば他人より多くの土地を確保するために必要なものはなんでしょうか。答えは侵略能力、だからアレスなんだと言いたいところですが、それではまだ正解の半分です。正解のもう半分は、大量の領地コマンド使用機会です。例えば25ラウンドで試合が終わってしまった場合、領地コマンドを25回しか使うことができません。つまり、配置や侵略で土地を増やす機会が25回しかないということです。これが40ラウンドまで試合を引き伸ばすことができれば、当然配置や侵略の機会が40回に増えます。
アレスには配置するだけで場を荒らして試合を遅延させる効果がありますが、これは同時に使用できる領地コマンドの回数を増やす効果でもあるのです。当たり前ですが、試合が遅延した場合、対戦相手の領地コマンド使用機会も増加します。アイドルの全体能力と同じで、アレスは必ずしも使用者の味方をするわけではありません。では、どうすればアレスを味方につけて、アドバンテージを得ることができるのでしょうか。
▼クリーチャー数を増やす
領地コマンドを使うためには、手札か土地にクリーチャーが必要です。つまり手札にも土地にもクリーチャーがいなかった場合、そのターンの領地コマンドは無駄になります。つまり領地コマンドでアドバンテージを得るためには、対戦相手にクリーチャーの需要に供給が追いつかない状況に仕向けてやれば良いのです。アレス場になった場合、クリーチャーがバタバタと死んでいくのでクリーチャーの需要が増します。こうなると、クリーチャー数が多い方が有利になります。▼落とせるけど落とされない構成
そんな都合の良い構成があるなら私が教えてもらいたいところですが、アレス場で強いクリーチャーの代表格であるデコイは何も考えずに4枚入れてしまって良いでしょう。生け贄が重いですが、クリーチャー2枚分以上の働きはします。増資の際に地形効果を無視できるのも地変スペルゼロとは好相性。テンペとかと当たると超ガッカリですが。
3. ブックの実例
ブック名:無限1UP (ダムウッド4人対戦用)
Creature 22 Item 7 Spell 21 スチームギア 3 グレムリンアムル 2 インシネレート 1 デコイ 4 ブーメラン 1 シャッター 2 アレス 3 ブラックオーブ 1 チャリオット 1 ガスクラウド 4 ペトリフストーン 1 ドレインマジック 3 サルファバルーン 2 ボーパルソード 2 ヘイスト 2 ドラゴンフライ 4 ホープ 4 カロン 2 ホーリーワードX 4 マスファンタズム 2 リプレイス 2 ご覧の通り、クリーチャー数は22枚と標準的な構成よりも多めになっております。
プレイングはけっこう単純で、とにかくアレスを置いてひたすら殴って土地数を増やし、デコイやカロンを上げて、デコイを殺せないブックを使っている人に踏んでもらって達成できればいいなという感じです。
侵略ブックというと「拠点を落として一発逆転」みたいなイメージを持たれがちですが実際はむしろ逆で、このブックの場合は「最初から最後までトップを維持、下から上がってくる走りブックをモグラ叩きのように潰していく」というのが勝ちパターンです。一応GASさん・はやしさん・4号さんとの4人対戦で使って勝ったことがあるブックで、そのときはそこまで理想的ではありませんでしたが、中盤までトップを維持してそれなりにコンセプト通りに戦えたのではないかと思いました。
地変スペルがないために侵略以外の止め手段がなく、対戦相手にリーチがかかったときには他人の地変をアテにせざるを得ないという情けない一面もあったりするのはご愛嬌。そうなる前に先を読んで、頑張って侵略しましょう。
それでは各カード解説でも。▼デコイ
生け贄がきついですが、そのデメリットを補って余りある重要クリーチャー。拠点候補ですが、場にデコイを殺す手段が多いときついです。最大のメリットは敵の土地を落とした後にそのままその土地を守れるところでしょう。ただし、アイテムの構成はデコイで侵略できるようになっていないので、拠点は落としにくいですが。ただ、デコイは生け贄があるため、その上巻物等を使えるようにすると一度に手札を3枚も使うことになるので実戦では拠点侵略に使いにくいこともあり、これはこれでいいのではないかと思っています。▼アレス
こいつを置かないと話にならない最重要クリーチャー。地変スペルがないので出しにくいのですが、そこはリプレイスで。2体目以降はデコイの生け贄に最適。そして生け贄にした途端にアレスが殺されてゲンナリという噂。▼サルファバルーン
他人のデコイを上げさせないためだけに入れたと言っても過言ではないカード。まあ、アレスがいないとデコイは殺せませんが。どうせクリーチャーはバタバタ死ぬので、こういうクリーチャーで頭数を揃えるのも悪くはありません。▼ドラゴンフライ
どうせクリーチャーはバタバタ死ぬので(以下略)。とにかく安いのが最大のメリット。カウンターアムル持ちにもガンガン突っ込ませていけます。こんな奴にボジャノーイとか殺されたら浮かばれませんな。▼カロン
土地を落とした後にそのまま守れるので、実はアレスブックに向いているのではないかと最近再評価しているクリーチャー。アレス応援+ボーパル強打でST105を出せる点はデコイより優秀。先制にも攻めれます。殴られたら高くつくのを心配する人は多いと思いますが、使ってみたら意外と平気でした。水土地は意識して1個確保しておきましょう。▼マスファンタズム
テンペ対策兼ランプロ剥がし。実はマスファンタは自分が優勢で守りに入っているときじゃないとテンペ対策としては使いにくいのですが、さすがにテンペとは相性悪過ぎなので入れています。他の人のファンタズム付きクリーチャーは責任を持って侵略で殺しましょう。どちらかというとランプロ剥がしがメイン用途ですが。地変打ち込みは他人任せです(無責任)。▼リプレイス
基本的にはアレスを呼び出すためのカードですが、敵の拠点をリビングシールドと交換したり、落とした拠点をすぐさまデコイやカロンと交換したりと、かなり汎用性が高いです。クリーチャー交換に限ればスペルターンに領地コマンドが使えるようなものなので、侵略で忙しいブックには重宝しますね。手札干渉と土地干渉を兼ね備えたスペルでもあります。
4. まとめ
ブックの形としては今のところ上記のような形で落ち着いていますが、1回勝ったとはいえ同レベルの相手との4人対戦で2割5分以上の勝率をキープできるコンセプトなのかどうかは私にもまだ判断がついていません。が、少なくとも地変ゼロも選択肢の1つとしてなくはないのかもゴニョゴニョ、ぐらいの可能性は示せたのではないかと思います。
基本的に侵略ブックの形になると思いますが、こういったブックを組む上での定石として「土地を落とした後にそのまま守れること」「領地コマンド使用機会を増やすために遅延策を入れること」の2点は押さえておきたいところですね。
例えばアレスブック以外だと、「ボージェス+高ST+レベルダウンスペル」というのも面白いんじゃないでしょうか。