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就業日誌

平成13年6月10日(日)

 拙作「頼むオヤジ」で、その腐れたメンテナンス状態から一世を風靡した私の十段変則自転車を皆さんは覚えておられるでしょうか。
 突然ですが、私は皆様に謝らねばなりません。実は私は、当ボイラー室をご覧になっている皆様に内緒で、今年の春から自転車を買い換えていたのです。それも、何の個性も無い、ホーマックで約8000円足らずで買った、平凡極まりない安物自転車に!
 いや、確かにあの十段変則自転車にもそれなりの愛着というか、せっかく小説のネタにもした自転車なんだしやはり多少壊れやすくてライトもつかないしあちこちのネジが飛んでいていくら締めつけてもハンドルを固定することもままならない上に変則ギアなんて壊れて久しいとはいえ、それでもなんとかかんとか騙し騙し乗り続けてやろうじゃないかという偏愛のようなものが私の中に芽生えかけてはいました。
 雪融けと同時に物置から自転車を引っ張り出した際、チェーンが外れていることに気づいた瞬間に私の足はホーマックへと向かっていたのですが。

 本題はここからです。その新しく買った自転車ですが、どうやら昨日にうちに盗まれてしまったようです。
 休日の昨日、私が軽やかな足取りで自室から出て社宅の前に出てみると、なんと数ヶ月前に買ったばかりの私の自転車が消失しているではありませんか。
 なんということでしょうか。確かに社宅の前とはいえ、カギもかけずに放置していた私が悪いのですが、それにしても自宅である社宅の前で盗まれるとは。
「人間の良心など便器に捨てられたガムに過ぎない」と信じて疑わなかったかつての疑り深い私ならばこんなことはあり得なかったのですが、最近は人間の悪意に自分自身が触れる経験から遠ざかっていたもので、すっかり油断していたようです。
 その昔、実家にいた頃には自宅の物置の中ですらカギをかけることを怠らず、カギを紛失しては家族に嘲笑されていたものですが。

 まあ、社宅の誰かが黙って拝借していった可能性もあり、その場合なら翌日までには戻ってくるだろうなどとこの期に及んでも私は淡い期待などを抱いていたのですが、今日になっても相変わらず自転車が消失したままです。
 そこでもうあきらめて、今日はまたホーマックに出向いてほぼ同じ自転車を購入してきました。値段はやはり8000円ぐらいでした。
 別に今回の件ではカギをかけ忘れた自分の甘さ以外には特に怒りは感じていないのですが、深刻なのは、私は8000円もの被害を出さなくては日記すら更新できなくなってしまったのかということです。
 お願いですから、次に日記が更新されたときには私がどんな被害を被っているのか、などと邪悪な期待を寄せるのはやめてください。
「今日、闇討ちを受けました」などと更新されるのを期待して、私を闇討ちしようなどと考えるのは持っての他です。







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