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川原六十夫:調査報告等(抄録)


北海道ノーマライゼーション研究(2006)

重度身体障害者における生活支援機器利用の実際と課題
-リフト-

川原六十夫(北海道頸髄損傷者連絡会)

 重度肢体不自由者の移乗,移動およびその介助には,重い身体的負担と危険を伴い,二次的障害の発生や重症化,重度化に繋がる可能性がある。移乗,移動用の補助,支援機器として様々なリフトが開発,市販されており,導入に対する公的給付,助成制度も設けられている。本研究においては,リフトを利用した生活の状況を確認するとともに,その有用性と導入,利用上の問題点を整理,重度身体障害者の日常生活や介助,介護における安全化,効率化に必要な条件について分析,検討することを目的とした。
 北海道頸髄損傷者連絡会のメンバーおよび関係者で,移乗動作が自立せず,何らかの介助を要していることが確認された全31例を対象とし,主に訪問による聞き取り調査を実施した。いずれも道内在住,在宅の重度身体障害者とその主介護者である。
 また,リフトの導入に対して,独自の公的助成制度を施行している神奈川県の状況について調査を行った。
 今回の調査において,リフト導入率は高く,移乗に伴う重度身体障害者および介助・介護者の身体的,精神的負担は確実に軽減され,在宅生活の維持,継続に大きく寄与している様子が確認された。しかし,公的給付,助成制度による導入は3割程度に過ぎず,制度対象外機種の利用者が過半数を占めていたこと等から,現行制度の基準設定には問題が多く,対象者のニーズや実情に即したものとはなり得ていない状況がうかがわれた。
 リフトの公的給付,助成については,機器の進歩状況等に見合ったより汎用性のある機種を基準とする制度体系への見直しを行い,その範囲内で多様なニーズへの適用も認めていくことが望ましいと考える。同時に介護保険に準ずるレンタル制度の導入や,リユースの促進を図る必要がある。
 介護負担の軽減,リスクマネジメントに関する取り組みは,大きく立ち遅れているのが現状である。日常生活用具給付制度の見直し,整備とともに,効果的,効率的な福祉機器供給体制への転換が急務である。





北方圏生活福祉研究所(2004)

重度身体障害者のセルフヘルプ・グループ活動
ー北海道頸髄損傷者連絡会の10年を顧みてー

川原六十夫(北海道頸髄損傷者連絡会)


 北海道頸髄損傷者連絡会では,本道の重度脊髄障害者を対象に,複数の媒体を利用してのコミュニケーションによる情報の集積と発信,対面的交流に基づく体験的知識の共有を目的とする相互支援活動を行ってきた。援助者自身に直接還元される生活支援サービスや対価サービスの提供などを伴わない純粋なセルフヘルプ・グループの場合は,援助者利得が曖昧で,その確約もない。特に重度身体障害者を対象とし,当事者自身によって自律した運営がなされるセルフヘルプ・グループは,極めて脆弱な基盤の上で不安定な活動を続けているのが現状である。北海道頸髄損傷者連絡会の活動を始めて10年が経過したが,対象者の障害特性,対象エリア,リーダーや役職及びメンバーの固定化,オンライン・ネットワーク化,専門職との関係などにおいて,多くの問題と課題を抱えている。





北海道ノーマライゼーション研究(2004)

重度身体障害者における生活支援機器利用の実際と課題
ー環境制御装置ー

川原六十夫(北海道頸髄損傷者連絡会)


 重度障害者の増加,措置から契約,施設から地域へという流れの中で,個々の障害者がいかに日常生活での自立度を高め,その暮らしを向上させていくかということは非常に重要な課題であり,特に高位頸髄損傷,筋萎縮性側索硬化症(ALS),筋ジストロフィーなどの重度四肢麻痺者の場合は,生活の全てに介助・介護を必要とするだけに生活支援機器の果たす役割は極めて大きい。
 重度身体障害者の生活支援機器のひとつに環境制御装置(ECS)があるが,本道での普及は進んでおらず,導入も円滑に行われているとは言い難い。本研究においては,同装置を使用した生活の状況を確認するとともに,使用者及び介助・介護者の立場から見たその有用性と問題点を明らかにし,円滑な導入に必要な条件について分析,検討することを目的とした。
 現在,環境制御装置を使用している北海道内の在宅重度四肢麻痺者及びその介護者を対象とし,主に訪問による聞き取り調査を実施した。いずれも北海道頸髄損傷者連絡会に所属する頸髄損傷者とその家族であり,筆者自身を含む全6例である。
 また,環境制御装置の導入に対して独自の公的助成制度を施行している神奈川県,岐阜県における制度の実施状況について調査を行った。
 環境制御装置の導入は全ての事例で有効に作用しており,使用する重度身体障害者のみならず家族や介助・介護者をも含めた生活形態に変化を与え,両者の身体的,時間的,精神的負担が軽減されていることが確認された。使用者本人においては,機器導入時の関与度により効用感に差異が認められたが,いずれもほぼ同様にその利便性,有用性を認めており,特に介護者からは高い評価を受けている。しかしながら,公的助成の対象外であることから導入には多額の出費を伴い,大きな負担となっている。また,普及の進まない状況が円滑な導入を妨げる大きな要因にもなっている。
 電気器具類の制御は生活を構成する重要な要素であり,重度肢体不自由者のインターフェースとして環境制御装置の必要性は今後も存続していくものと思われる。わが国における環境制御装置の導入開始から約20年が経過し,その有用性は既に十分実証されているといえる。公的助成を望む声は多方からあり,独自の助成制度を施行している一部の自治体では安定した機器供給を実現させている。
 環境制御装置は,その適応を個々の身体状況に基づき明確に規定することが可能であり,厳正な判定により極端な助成件数には至らないものと考えられる。本道においても,環境制御装置導入に対する公的助成の実施が望まれる。
 環境制御装置導入に対する公的助成を実施するにあたっては,明確な規定と厳正な判定が不可欠であり,更に設置や故障時の対応についても適用基準を設定しておく必要がある。また,北海道全域で安定したテクニカルサポートが受けられるよう体制の整備が求められ,給付,助成や機器導入の在り方とともに今後に課題を残す。



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