排尿トラブル:集中治療室で迎えた2006年
はじめまして。26年前に頚椎4番、5番を損傷し四肢と体幹麻痺の女性です。現在は施設で生活をして居ります。
昨年の会報で、「尿カテーテルが詰り救急車を呼んだ」という体験談を読みまして、私も昨年末に尿カテーテルのトラブルで緊急入院をするという経験をして、似たような悩みを抱えている方が他にもいらっしゃるのではないかと思い、自分の体験談を書いてみました。
▼入院前の状況
・尿道口からのカテーテル留置で、交換は2週間毎。週2回の膀胱洗浄をしていた。
・水分摂取量は1日3〜4リットルで、夜間も出来るだけ摂取を心がけていた。
・10年位前から膀胱洗浄時に尿漏れや自律神経過反射が起こることがあり、膀胱容量が少なくなってきている自覚はあったが、日常的な尿漏れやトラブルがなかったため、受傷から一度も泌尿器科を受診したことがなかった。
▼入院に至った経過
・‘05.12.29.午前10時
カテーテル交換時に出血、看護師さんの判断により膀胱洗浄で様子を観るが、直後に血液の塊が尿路を塞いで動悸と多量の発汗が起こり、血圧が急上昇(180−120くらい)し、激しい頭痛に襲われる。
・看護師さんが電話にて普段診てもらっている施設の医師に指示を仰ぎ、鎮痛剤と血圧降下剤(作用に不安があり看護師さんに確認したが、ドクター指示で少量とのこと)を服用後A病院の泌尿器科外来へ向かう。
▼A病院外来での対応
・受付から30分余(発症から2時間ほど)経て診察、処置開始。詰ったカテーテルを交換し膀胱洗浄、止血剤の点滴投与後、CT撮影をする。この間に血圧が降下し、意識が混濁、嘔吐したため、緊急対応ルート確保の点滴をする。1時間余で出血は落ち着き始めたが血圧が安定せず、年末であることを考慮しICUへの入院となる。
▼インフォームドコンセント
・「CT診断で気になる大きさの子宮筋腫があること」、「膀胱の出血原因が特定できないこと」、「症状が落ち着いたら内視鏡検査をすること」を付き添って来た看護師さんと家族に説明があった。その後、私も同じ説明を受けるが、私自身はCT写真を見せられていない。
▼入院中の治療と経過
・血圧管理と止血剤の点滴投与。24時間還流の膀胱洗浄。コアグラ(レバー状の血塊)が尿路を塞ぐ毎の対処(管を陰圧にして吸引、膀胱洗浄)
・子宮筋腫は専門外なので早期に婦人科受診をと勧められる。その際に「現在の尿路管理は膀胱ろうが主流となっている。筋腫摘出(開腹手術)時に膀胱ろうも一緒に作ってはどうか?」と提案される。
・治療の成果で3〜4日にて出血は落ち着いたが、筋腫、これからの尿路管理への不安と、治療、看護への不信感で精神不安に陥った為、今後の治療方法について担当医、家族と話し合い一時退院をする。
・担当医は非常に親身で、私の意向を汲んでくれ、他病院への転書も快く書いてくれた。
▼セカンドオピニオン
・A病院退院から3日後、婦人科、泌尿器科のあるB病院を受診する。
・婦人科診断:子宮筋腫については「手術を必要とする大きさではなく、特に心配な要素も診られない」とのこと。がん検診も陰性。
・泌尿器科検査と診断:CTと腎臓の造影、膀胱内視鏡検査。「膀胱壁がかなり荒れていて粘膜が薄くなったり、硬くなったりの箇所が見られる。出血箇所は特定できないが、刺激による粘膜性出血と思われるので心配はない。膀胱内に血液の塊が残っているが、自然に排泄されるので暫くは血液が混ざった尿が出る。血液などの塊が詰った時は膀胱洗浄で対処し、緊急時は緊急対応が出来る病院へ行く。(B病院の泌尿器科は月2回の外来診療のみで、泌尿器か病棟がないため)」以上の診断を検査データ、写真で解り易く説明をしてくれた。
▼膀胱ろうについて
・男性の場合は精線、前立腺への影響があるので膀胱ろうを勧める事もあるが、女性は問題がない限り勧めない。私の場合は現段階では必要なしとの診断。
▼その後の経過と現況
・暫くは尿が赤く、血液の塊が頻繁に出てカテーテルを数日で交換することや、1日に3〜4回の膀胱洗浄を必要とすることもあった。
・日を追って尿の色は薄くなってきたが、ゼリーの塊みたいなもの、粘膜状、石灰状の汚れが度々詰まり、カテーテルの素材やカフの量など試行を重ね、発症から2カ月くらいで座車生活に戻る。
・座車時間が増えるにつれ膀胱への負荷が大きくなり、発症以前より粘膜状や石灰状の汚れが多く、カテーテルの交換、膀胱洗浄の回数が増えた。尿漏れの回数も増えた。
今回の入院では、看護師さんが常駐の施設に居たことで、早い対応ができ、退院後の処置も可能になったのだと思うのですが、自分に都合が良い方の診断を受け入れてしまったのではないかという疑問は残っています。
医療、看護の体制、対応によっても尿路管理の方法が変わるので、生活上のメリットとリスクを熟慮して管理方法を選択しなければならないと思います。その為にも医療機関や医療情報、定期的な受診の必要性を痛感しています。
また、当事者間の情報交換も有効だと思うのですが・・・。
(北国の頸損かわら版 Vol.31への寄稿から:2006年6月)
自立支援法施行、施設では・・・
C4、C5の損傷でADLはほぼ全介助、身体障害者療護施設に入所して16年が経ちます。この間に、施設における障害者福祉施策は措置から支援費を経て、自立支援法へと制度改正されましたが、改正の度に金銭的な負担が増え、生活全般が不便、不自由になってきています。
この度は、光熱水費と食費の自己負担だけでも随分生活が変わりそうです。どこで生活していても当然必要な出費ですが、施設では個々に節約することができず金銭的に負担が増えます。
視点を変えれば、施設生活は住と食は確保されますし、介助面においても「障害区分程度」をあまり意識せずにいられるというメリットもあります。しかし、「施設はセーフティ・ネット」という国の方針を考えると「障害者の自立」には施設生活という選択肢がないように感じられ、今後、自分が施設に居られるのかを始め、どんな支援を受けられるのかといった不安はぬぐえません。
施設側も地域支援や日中活動など制度移行への取り組みを始めていますが、現時点(5月)では日常生活上に大きな変更はなく、実際に影響が出てくるのは、もう少し先になると思われます。
自立支援法は、障害者間にも格差を広げ、在宅、施設を問わず「障害者の自立」を阻む制度ではないかと感じています。
今は、「尚、流動的」というところに望みを託し、個々に必要な支援を得られるように出来る範囲で働き掛けをしていければと思っています。
※ 医療制度改革については勉強不足でよく理解しきれていないのですが、かなり以前より障害者の入院は敬遠されているように感じますし、医療費の負担が大きくなれば、必要な治療でも拒否する事態が起こりうるのではないかという懸念を持っています。
(北国の頸損かわら版 Vol.31への寄稿から:2006年6月)