ケア付き住宅と電動車椅子 佐藤恵美子(C6・札幌市)
私の住んでいるケア付き住宅は静かな住宅街の中にあります。アパートの向いは公園です。周囲はフラットな道路が続いていて、近くにあるスーパー・銀行・郵便局・区役所・区民センター等、生活していく上で最低限必要な所へは電動車椅子で入る事ができます。二十四軒にある札幌市身体障害者福祉センターへは電動車椅子で約15分位、地下鉄琴似駅までは約13分位です。外出時の交通手段としては主に電動車椅子で地下鉄を利用していますが、リフト付きタクシーや普通のタクシーを利用する事もあります。
ここには規則というものはありません。起床や就寝の時間等は各自で決めていますし、外出や外泊も全く自由です。完全個室なのでプライバシーも十分守られていると思います。
家賃として道住2種の家賃を支払う事になっており、年金のみの生活者には減免措置がとられています。ケア料金として月額15,700円支払っています。
住居の間取りは単身用は全体として41Fありますが、居室部分は2部屋で23Fです。自分の部屋は使いやすいようにレイアウトしており、狭いのでワンルームとして使っています。もちろん段差はありませんし、お風呂には手すりの他に車椅子の座面と同じ高さのスノコが付いており、浴槽の高さも同じになっています。必要に応じて天井にリフトが付けられるようになっています。当然トイレ、洗面台にも手すりが付いています。
台所の流し台やガスコンロ台の高さが3段階に調節できるようになっています。洗面台も車椅子用のものが付けられていますし、洗濯機を置く場所の床が低くなっていて車椅子利用者にも扱いやすいように工夫されています。
ケアの内容はその人の障害の程度によって異なりますが、主に直接介助として入浴・排泄・衣服の着脱・車椅子の乗降、間接介助として炊事・買い物・掃除等が行われています。
通常ケアステーション(事務所)への連絡には内線電話を使い、緊急通報手段としてコードレスの通報ベルを3個持っています。車椅子に付けている方、トイレに付けている方等、入居者各自が工夫して設置しています。緊急時の通報は直接ケアステーションに入り、ケアスタッフが来てくれる事になっています。現在のケア体制は次のようになっており、平日も休日も変わりなくケアが受けられます。(7:00〜10:00:3名、10:00〜17:00:2名、17:00〜20:30:4名、20:30〜
7:00:1名)

ケア付き住宅で暮らし始めた頃は冬でした。コーディネーターの方が「春になったら電動車椅子に乗って外出してみたら?世界が広がるぞ!」と言って下さり、「ああ、そういう手もあるなー」と思って申請をしました。
現在、SUZUKIの電動車椅子(6km/h)に乗っています。今ので2台目で、厚生障害年金で交付を受けています。
電動車椅子は振動も少なく手動車椅子に乗っているよりも随分と体が楽で、疲れの度合いが違います。電動車椅子に乗ってひとりで勝手気ままに自由に外出している時は、何とも言えない壮快な気分です。手動車椅子だと押して下さる方に気遣いや気兼ね等があったりもしますが、そのような事を感じなくても済むからだと思います。
私の行動範囲は年々広がっています。ちょっとの段差でもクリアできないという欠点はありますが、そういうところはパスする事にして気持ちを切り換え、「電動車椅子で行けるところ、入れるところなら何処へでも行く!」という気持ちで今日も乗っています。疲れ過ぎに注意をしながら自分の体調を考えて「今日は何処へ行こうかな」とお天気と相談しながら楽しく外へ出かけています。電動車椅子はなくてはならない私の足なのです。
以前、実家で不便な思いをして暮らしていた事を考えると、今のケア付き住宅での生活は私に実に多くのものを与えてくれているように思います。とにかく24時間のケア体制が整っているので大きな安心感があり、いつでもケアを頼めるという事にはとても心強いものを感じます。
それから周りの環境に恵まれているために電動車椅子で動きやすく、その事が私の行動範囲を広げ、そして人間関係をも広げてくれている事がケア付き住宅の最大のメリットと言えるかもしれません。
(北海道頸髄損傷者連絡会レポート集・1997年)