菅原麻利子さん(MSW・CM、札幌市)のレポート&コラム


「全国頸髄損傷者連絡会 '99年度総会(名古屋)に参加して」

 私が札幌に来て3年目になります。頸損連絡会の全国大会に出席するのは2年ぶりです。早いもので、今西さん(全国頸損連絡会の会長)から「北海道にも頸損連絡会できたから」という言葉に励まされ札幌に出てきてから丸2年が過ぎました。この私が、まさか札幌で就職しようとは・・・
 短大で福祉を勉強していた頃、とても流行った言葉がノーマライゼーションでした。私にとって頸損連絡会という場所は、あらゆる意味?で真実のノーマライゼーションを理解させてもらった所と言えましょう。この10年間、頸損連絡会を通しての数え切れない思い出は・・・ここは、それを書くコーナーではなかったよね。すんません。
 名古屋の頸損連絡会は昨年発足したばかり。それでもメンバーの方達は色々な企画で私達を歓迎してくれていました。1日目の公演会は頸損暦40年以上になる重鎮、山田昭義さんの『重度障害者の社会参加について〜頸髄損傷者の自立を考える』というテーマで彼自身のことをお話ししてくれました。
 「ドェリャ―昔の話しだでぇ」で始まった昔話は、彼が高校生だった頃。海へ遊びに行き、飛び込みで受傷した40年前。制度も年金も無く父親の稼ぎの3分の2が入院費となり生活保護を受けた話に始まり、入院生活の中でまわりが退院するのに自分だけ何も変わらない事にただ苛立ちを感じていた頃の話。入院生活の中では病院の看護婦さんが体温が38度まで上がらないと氷をなめさせてくれなかった話も出て、皆引きこもごもの笑いでした。
 そして施設に入っての差別や初めて自分と同じ障害を持つ仲間に逢ったときの喜び。高校の通信教育、大学への進学。様々な人との出会いから障害者運動に繋がるまでの山田さんの歴史を伺いました。「自分の情けない話が一番」と会うたびに山田さんは言います。山田さんは現在福祉ホームの施設長をされていますが、施設で酷い目に遭った彼はこの話を受けるときにとても悩んだそうです。僕は40年オムツをしてるけれど、介助者から「大変だけ―あとにせぇー」言われた事は忘れられん。介助者側に立った施設は絶対に許せん!と、この日も熱く語ってくれました。ちなみに今は、隣に寝ている奥さんに「まだ眠いで後にしょ」と言われているそうです。
 まとめられず長くなってしまいましたが私は山田さんの事大好きで、今回も彼の話があるというので名古屋に行く事を踏み切ったようなものです。本も出版されていますのでぜひお読みください。著書に『人にやさしい街づくり』『自立を選んだ障害者たち』等があります。

 2日目は全国総会がおこなわれました。
 障害者全体に共通する課題とは別に頸損者特有の課題〔無年金者の救済・パーソナルな移動の確保・単身者用車椅子住宅の普及・環境制御装置や天井走行用リフトの給付・3番4番といった上位頸損者の取り組み等〕を全国的な取り組みならびに地域に即した行動を展開していく必要があるという事で広くテーマがあげられていました。
 特に活発な意見が交わされたのは、所得保証の充実と介護保険にからんだ介助システムの確立という事です。所得保証については、年金制度が5年ごとに改正されるにあたって年金の財源が社会保険様式から税方式に変わる動きがあります。これに伴い年金の税負担率を現在の3分の1から2分の1に引き上げる方法も具体的に示されており、ここで無年金者の問題も解消すべく動いています。また、特別障害者手当てを介助手当てとしてではなく稼得能力の無い障害者の大部分が受けられるシステムに変えていく必要があるという事。
 介助システムの確立では、2005年に障害者も介護保険の対象となる動きがある事から障害者の介助システムを早急に確立していく事が必要です。現在老人にあるものを障害者に当てはめられる事は不可能な為、自立・社会参加に関する介助報告の幅の拡大を求めていくことは重大な課題です。これを動かすとすれば介護支援事業に合わせて地域支援事業も合わせて組み立てていく必要がある事は言うまでもありません。(2000年に65歳以上となる障害者は、老人の介護保険事業の枠にいきなり入ってしまいます。この事は、受けられる介助体制が大幅に変わる事からも問題になってくるのは当然です。これを「障害者2000年問題」と言うそうです)
 介護保険の自己負担金についても問題があります。これは措置制度が廃止されて介護保険に変わっても相変わらず家族の収入に応じて自己負担金が変わる事です。この規定のままでは障害者は何時までも親と切り離して生活設計を立てることが出来ないので、利用者負担額の金額は少なくとも親の収入をはずした金額にしていく事が望まれます。現在検討されている中で障害者が介護保険制度の対象になるにあたっては、生活支援事業の枠の中で介助に関する相談を一定の機関で受ける事になります。そうなればどうしても障害を負った当事者が生活支援事業に携わっていける方式をとる事が望まれていくでしょう。そのためにケアマネージャーを障害者が受けやすいように仕事の枠を広げる事が求められ、試験や研修も当事者が受けやすい受け入れの措置を要請していく事が求められます。
 無年金問題や介護保険・・・どれも緊迫した問題に集中したため時間もあっという間でした。
 以上で私の名古屋の報告は終わりです。来年は岐阜かな?

(1999年7月、北海道頸損連絡会かわら版への投稿から)




「介護保険研修会に参加して」

 「課題分析様式」〜私はMDS−HC方式を選んだのですが、これは病院などで多く取り入れている方式で、北海道ではこれを使って実際にケアプランを作っているところが多いようです。MDS−HC方式とは課題分析様式の一つで医療情報から周囲の環境までチェックをしていくと、どのような問題があるのか自動的に(?)分かるというものです。
 ところがどっこい、実際にケアプランというものを立てるまでに沢山の記録をまとめていかなくてはなりません。もちろん、介護保険ではこのケアプランをご本人や家族が立ててもOKになっています。
 研修会には医師や薬剤師、ワーカーの方もいました(私は介護福祉士です)。でも、やはりほとんどが看護婦さん。「看護もコンピューターの時代」と口々に話していました。批判したいところですが・・・
 私も働いていて、『経験者のカン』みたいなものに大腕を振るう介護や看護の体制に疑問を持っていました。これからは看護や福祉の学校でこの課題分析方式の記入方法を授業で勉強するかもしれません。今は、私が短大で勉強していた頃とは随分と福祉の認識が変わりました。
 スウェ−デンでは70歳から議員に立候補する方もいるそうです。日本でも、今までは当たり前のように行われていたカーテンをしないおむつ交換や着替えは性的虐待とはっきりといわれます。(実態はどうあれ)

利用者の声は少しずつ届いているのかしら?

  課題分析様式ってなぁにぃ?

  介助する人や医療的処置を行う人が、サービスを必要としている人はどんな人で、その人がどのようなケアの望んでいるのか・・・それを絞り込んで、どのように展開させていくのかというのが課題分析です。
 この課題分析、それぞれのやり方でコンピューターにひとつづつインプットしていけば自動的にどんな介助をすれば良いかという結果(?)が出るのです。これを課題分析様式といい、介護保険で提唱しているのは6つもあるのです。

    MDS−HC方式
    三団体ケアプラン策定研修会方式
    日本介護福祉士会方式
    日本社会福祉士会方式
    日本訪問看護振興財団方式
    全国社会福祉協議会方式

 私にはどれも良く分かりません。でも、なぜ6つもあるかというのは、どの団体も確執があって絶対に譲らなかったというのが本当だそうです。自分の介助、いつの間にか知らない人に課題分析されているかも? 

負けてはいられませんよぉ〜!

 いくらケアマネージメントしたからといっても、当事者の声(生活者の声)があって変わっていく社会的な部分を一緒に動かしていかなくては何をやっても今までと同じ。厚生省に分かるかなぁ?
 私の横に座っていたおじさんも『分かるかい?私は全く分からないよ』とつぶやいていました。その数分後私は意識不明となり、気が付いたら説明は一通り終わっていたのでした・・・

 介護保険は要約すれば国の財源安定のための制度。『介護』に関する部分はすべて保険でという制度です。介助が必要となったら、どの程度必要なのか判定し、決まった枠内でサービスが受けられるようになります。(それ以外は実費)
 ケアマネージャーとは、この判定(要介護認定基準)を決めるために介護の必要な人に対して調査を行う人のことです。

 ・・・何たって受講者の質問コーナーが1番面白かったです。今日1番のヒット!皆さん現場を良く知る人達の集まりですから、真剣でした。その中でも特にふたつのことは印象的でした。

  何をもってして自立というか?

 例えば、洗面が自立している。といってもタオルを片手で持って一拭きして洗顔にしてしまっている人もいるわけです。(良いと思っているのか介助者に遠慮しているのかは別として)

  介護保険ではこれも自立です。

 「過去14日間以内に受けた医療」という項目があります。これには湿布を張る行為から、人工呼吸器や気管切開の処置、失禁対応としてのカテ−テルの処置などがあります。これも医療従事者がやった行為ならばOKですが、家族が代わりにやっているものは含まれないのです。またその逆に病院で処置したものは『治療』になるために含まれません。

  『要介護状態区分変更不適当事例』とは?

  介護の必要度と関係なくサービスを利用することを目的として変更してはならない。(例)「一人暮らしの人が、冬は寒いのでデイサービスを利用するため、自立から要支援者にすることは認められない」

「ケアマネージャーはあくまで自分の感情を入れてはいけない」

 この注意事項が出された時は、会場からドッと溜め息が漏れました・・・

(1998年11月)




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