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モリヨシユキさん(脊髄損傷:第12胸椎)のレポート&コラム

 アンテナ広げて職業復帰

 皆様、こんにちは。そして、初めまして。今回は、代表の川原様からお声を掛けて頂きまして、このような、自分勝手な文章を書かせて頂いております。つまらない文章だと思いますが、暇つぶし程度に読んで頂けると、僕も助かります。

 まずは、簡単な自己紹介をさせて頂ければと思っております。僕は、1972年生まれの、現在32才です。大学を卒業後、市内スーパーマーケット会社に就職致しました。そして、平成9年の24才の時、休日にドライブで出掛けた富良野市で交通事故に遭い、脊髄を損傷致しました。

 平成11年に退院致しまして、約半年間は新しい生活に慣れるためにボーっとしていました。そして、その後の半年間は医療事務の資格を取って、病院で医療事務のアルバイトをしたり、在宅でデータ入力のアルバイトをしたりして、毎日の生活を送っていました。そして、その時、在宅でデータ入力のアルバイトをさせて頂いていた企業に出入りしていた人の中に、偶然にも中学時代の同級生がおりまして、それから、彼とはメールなどのやり取りで連絡を取るようになったのですが、その彼と色々と話しているうちに、実は彼は大手全国企業の社員で、顧客情報の管理の仕事をしているという話しを聞きました。そして、彼の所属している課では、顧客情報入力の効率アップの方法を色々と模索している最中で、その方法の中に、在宅勤務の社員を雇用して、入力業務を行なうというプロジェクトも考えているとの話しを聞かせてくれました。そして、僕はその彼に、現在、僕を含めた、体に障害を持ったたくさんの人が、本当に心から仕事に就きたいと思っており、そして、その障害を持った人達が、もしも在宅で働ければ、生活の幅が広がるんだよいう話しを彼にしました。すると彼もその僕の話しに理解を示してくれまして、彼の上司にその話しをしてくれました。すると、その上司の方から僕に「詳細を聞かせてほしい」という、とても嬉しいお話しを頂きまして、僕の思っていることを説明させて頂きました。すると、この方も理解を示して下さいまして、約8ヶ月の準備を経て、最初は試験的ということで、まずは僕一人が在宅でのデータ入力をさせて頂けるようになったのです。

 勿論、最初のうちは色々と問題点もありましたが、少しずつ改善していき、現在では効率の良い業務になっています。現在、在宅でデータ入力業務を行なっているのは、僕を含めて12名でして、そのうち、所謂障害者は僕を含めて7名です。僕以外の6名の方は、最初からこの大手企業の社員の方でして、皆さん、とても勤勉で優秀な方たちばかりです。

 データ入力の全体的な流れを説明させて頂きます。週に1度だけ出社しないといけないのですが、それは毎週月曜日でして、朝9時までに出社致します。その際に先週分のデータ(書類)とフロッピー、それに入力フォームの入ったCD−ROMを上司に渡しまして、今週分のデータ(書類)とフロッピーとCD−ROMを受け取ります。その後、受け取ったデータ入力の際の注意事項などの説明を受け、先週分の自分が行なった入力分のミスや、ミスをチェックする係りの人が気付いた点などのアドバイスを受けます。以上のことを全て終了するまでに、約2時間でしょうか。その後は各自帰宅致しまして、各々の自宅で仕事に取り掛かります。

 家でどのように仕事をしているかと言いますと、火曜日〜日曜日まで、毎日朝9時に会社にいる上司に、「今から仕事を開始します」という電話をします。そして、18時に「終了します」という電話もします。体調がすぐれない時は、朝の電話でそのことを伝え、場合によっては欠勤ということになります。

 次に入力量ですが、在宅でのデータ入力を行なう前から、自身でノウハウを持っておりますので、その時によって多少のずれはあるでしょうが、そのノウハウにのっとった入力量で多過ぎず少な過ぎずで、1週間を過ごしております。

 次に待遇面ですが、12名全員社員です。僕以外の障害をお持ちの方の6名は勿論、ありがたいことに僕も社員です。現在の給与は、僕が受傷した8年前に受けていた給与の3分の2というところでしょうか。その給与を高いか安いかというのは、あくまで個人の問題だと思いますが、僕は十分に満足しております。勿論、6月と12月に賞与も頂いております。

 でも勿論のこと、社員としての責任は当然あるわけです。例えば、仕事量に関してですが、毎回自分の与えられた仕事を最後まで終了させれなかったら、まずは減給という処分を受け、それでも改善されない場合は、最悪の場合、解雇という通告を受けるわけです。あとは、あまりにミスが多い場合も同じです。実際に約1年前にあった例なのですが、ノルマを達成することが殆どなかった方がいらっしゃったのですが、その方は会社にいられなくなりました。当たり前のことですが、「たかがデータ入力、されどデータ入力」ということを、僕は本当に痛感しています。

 今の仕事に就かせてもらって、今年の秋で4年になります。この4年を振り返ると、僕は本当にラッキーだったなあって思います。色々な人に支えられて、今の仕事に就けたと思っています。僕は入院生活の間ずっと、「出来るだけ早く社会復帰してやる。」と思っていました。僕がここで言っている「社会復帰」とは定職に就くということです。ですから、退院したらすぐにパソコンを購入して、「在宅就労」や「データ入力」など、思いついた単語を入力して、インターネットで片っ端から検索しました。今思うと、この「片っ端」が良かったのかなあって思います。

 自分の出来る範囲で十分ですから、就労に限らず、自分が興味を持っていることに、何らかの「アンテナ」を伸ばすことが大事なのではないかと、今の職に就くまでの経緯を思い出して感じています。現代はこれだけインターネットが発達していますから、自分が思いもかけないタイミングや場所から、いきなりメールが来て、それがきっかけで現在の自分が置かれている状況が一変することが珍しくない時代になったような気がします。インターネットに限らず、例えば新聞記事をいつもよりも少しだけ注意深く読んでみるとか、広報を先月よりも注意して読んでみるとか、考えれば幾らでも「アンテナ」を伸ばすことが出来るのではないでしょうか。「行動を起こす」というのは、体を動かして汗水を流すことだけではないと思います。本当に少しで良いですから、「俺の興味のあること、何か書いてないかなあ、載ってないかなあ」と思って行動するだけで、それが雪崩のようになって、最後には大きな変化に変わることも珍しくはないと思います。僕はその「アンテナ」を張れたおかげで、色々な人に助けてもらい、最終的には現在の仕事に就けたのではないかなと思っています。

 皆さんも今より少しだけ「アンテナ」を広げてみませんか?そうすれば、何か変化があるかもしれませんよ。何かに興味を持てるというのは、とても楽しいことだと思いますので・・・。


(北国の頸損かわら版 Vol.29への投稿から:2005年7月) 
 




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