北国の頸髄損傷・重度脊髄障害広場
2008年の関連トピックス

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会社員レスラー、首の骨ずれ死亡 練習中に技かけられ
2008年12月24日 朝日新聞
 東京都江東区新木場の格闘技ホールで10月、プロレス団体に所属する男性(25)が他の2人と練習中、技をかけられて首の骨がずれるなどし、6日後に死亡していたことが24日、警視庁東京湾岸署への取材でわかった。同署は安全管理が不十分だった過失致死の疑いもあるとみて、2人から事情を聴くなどして捜査している。
 同署によると、死亡したのは神奈川県平塚市の会社員由利大輔さん。10月18日午前0時半ごろ、団体の代表(30)が由利さんを肩車し、別の会社員の男性(34)がコーナーの上からジャンプして、由利さんに水平に伸ばした腕をぶつけて倒す「ダブルインパクト」と呼ばれる技をかけたという。由利さんは着地に失敗。頭からマットに落ち、当初は意識があったが24日に死亡した。
 同団体所属のレスラーは普段は働いており、これまでに数回、興行を開催。自前のトレーニング施設は持っていないという。由利さんのレスラー経験は浅かったとされる。3人は近日開催予定だったプロレスイベントに向けてリングを借りて練習中だったという。


障害者福祉、事業者報酬5.1%上げへ 初改定で方針
2008年12月19日 朝日新聞
 政府は18日、障害者自立支援法で障害福祉サービスを提供する事業者への報酬を、来年4月から5.1%引き上げる方針を固めた。06年の同法施行後、初の改定。介護保険の報酬改定はすでに3%引き上げが決まっている。障害福祉サービスの人材確保も深刻なため、介護報酬を上回る引き上げに踏み切る。
 報酬改定は介護保険と同様、原則3年ごとに実施される。原則1割の利用者負担のほかは、国が半分、都道府県と市町村で残り半分を負担。国の今年度の予算規模は約5千億円。
 障害福祉の現場では、介護現場と同様に人材不足が深刻で、処遇改善などが急務となっている。厚生労働省が11月に発表した初の経営実態調査(07年度)では、障害福祉のホームヘルパー(常勤)の年収は258万3千円で介護のヘルパーより11万円以上低かった。


トヨタ福祉車両で改造届け出漏れ、国交省が厳重注意
 トヨタ自動車は2日、2004年9月以降に一部改造を行った福祉車両のワンボックス車「ハイエース」と「レジアスエース」計1万5209台の改造届け出を怠っていたと発表した。
 発表によると、両車種とも後部ドアから車いすごと乗り降りできるもので、乗り心地を良くするために後輪の車軸のスプリングを軟らかくする改造を行った。先月12日に自動車検査独立行政法人で車検を行った際に、改造の届け出がなされていないことが判明した。
 このため、スプリングの材質や強度など保安基準の適合審査を受けた後、改めて改造を届け出た。
 改造は子会社の「トヨタ車体」(愛知)が行っており、トヨタはトヨタ車体が、トヨタ車体はトヨタが届け出たと考えていたという。国土交通省は車検制度の信頼性を低下させたとして、両社に厳重注意した。
(2008年12月2日  読売新聞)


万能細胞からの精子・卵子作製認める 文科省学術審部会
2008年11月27日 朝日新聞
 文部科学省の科学技術学術審議会は27日、生命倫理・安全部会の作業部会を開き、ヒトのES細胞やiPS細胞といった万能細胞から、精子や卵子などの生殖細胞を作る研究を認めることに合意した。ただし、作製した精子や卵子を受精させることは、技術的にも倫理的にも時期尚早として認めなかった。
 ES細胞などを研究目的で扱うために文科省が定めた指針では、ヒトの受精卵からつくったES細胞を使った研究として、(1)精子や卵子の作製(2)作った精子や卵子の受精(3)受精させた胚(はい)の子宮への移植——などは認められていない。安全部会では、iPS細胞についても今年2月、ES細胞と同じ対応にすることを確認していた。
 しかし、不妊症の原因解明などに道をひらく可能性があるとして、万能細胞を使って生殖細胞を作製し、基礎的な研究ができるよう求める声が上がっていた。このため、作業部会を設置して検討を進め、生殖細胞の作製については認めることにした。
 作業部会では、動物の研究でもES細胞から生殖細胞を体外で作製することすら難しいことから、生殖細胞ができていない段階で受精を認めるのは当面できないとの意見が大勢を占めた。
 作業部会は報告書をまとめ今年度中に安全部会に提出する予定で、認められれば文科省が指針の改定作業に入る。


便秘治療薬の副作用?高齢者2人死亡 厚労省が注意喚起
2008年11月27日 朝日新聞
 便秘や胃炎の治療などに使われる医療用医薬品「酸化マグネシウム」を飲んだ高齢者らが、意識を失うなど高マグネシウム血症を起こし、2人が死亡していたことが27日、わかった。厚生労働省は、薬の添付文書に「重大な副作用」として記すよう販売企業に指示、長期投与する場合は経過をよくみるよう医師に注意を促す文書を出した。
 酸化マグネシウムは便通を良くしたり、胃酸を抑えたりする薬。副作用として高マグネシウム血症があり、意識障害や呼吸抑制、不整脈などが起きうることは知られていたが、死亡など重篤例がわかり、措置をとった。
 05年4月から今年8月までに、高マグネシウム血症を起こしたと報告された15例を詳細に検討し、判明した。死亡した2人はいずれも長期服用者とみられる。厚労省は、長期投与の場合、患者の血中マグネシウム濃度を測るなど十分観察するよう医師に呼びかける。
 同薬は国内で50年以上使われ、販売企業は約20社、推計使用者数は年間延べ約4500万人。同じ成分が大衆薬にも含まれるため、厚労省は、該当製品を副作用リスクの高い医薬品として分類変更し、販売時規制を強化する方針。


障害者雇用率の未達成企業、大阪府が取引見直し方針
2008年11月18日 朝日新聞
 大阪府の橋下徹知事は障害者の雇用促進策として、来年度から法定雇用率を達成していない企業との契約関係を見直す方針を固めた。大阪府の法定雇用率の達成割合は全国43位(07年6月現在)の低水準で、橋下知事は「障害者雇用の日本一を目指したい」と意欲を示している。
 障害者雇用促進法は、従業員56人以上の企業に対し、全従業員(常用労働者)の1.8%の障害者雇用を義務づけている。だが、企業の中には障害者雇用よりも、法定雇用率を守れない場合に支払う納付金(1人あたり月額5万円)を選択する企業もあるという。
 厚生労働省によると、達成企業は全国平均で43.8%にとどまり、達成率トップは佐賀県の64.7%。大阪府の場合、府内に本店がある対象企業6010社のうち、達成したのは42.2%だった。
 府雇用推進室によると、来年度から入札や随意契約などで府と取引関係にある企業に対し、雇用率を示す資料の提出を義務づけ、未達成の場合は改善に向けた計画書の提出を要請する。対応が不十分な場合は契約見送りも検討する。同室によると、こうした取り組みは全国的に珍しいという。
 府はこれと連動して、未達成企業の取り組みを支援する「大阪府障がい者雇用企業促進センター(仮称)」も設置する方針だ。橋下知事は「『未達成企業とは取引しない』と宣言し、強い姿勢を示す。障害者雇用率の引き上げは、行政の最大の使命だ」と話している。


介護費不正受給 「福祉のプロ」知識悪用?
2008年11月08日 朝日新聞
 5年間で4千万円の介護費用などを不正受給していたのは、道職員として福祉施策に携わり、退職後は自ら介護事業所の経営を手がける「福祉のプロ」だった。7日に分かった札幌市手稲区の介護事業所の男性経営者(73)による不正受給事件では、専門知識を持つ男性が市の甘い調査に付け入り、福祉を「食い物」にしてきた実態が浮き彫りになった。
 市によると、男性は95年に事故の後遺症で身体障害者手帳1級に、その後に介護認定も2番目に重い要介護4とされ「ほぼ寝たきり」となった。男性は自分の事業所で介護サービスなどを受けたとして、市に費用の給付請求を続けていた。
 一方、市は06年に男性が歩く姿を職員が目撃。さらに障害程度を偽装しているとの通報も受けたが、職員が調査に出向くと、男性が寝たきりを装ったり、車いすを持ち出したりしたため、証拠をつかめなかったと説明している。
 市は今年に入り、男性宅の張り込み調査に着手。8月、男性が自力で車を運転し、両手で買い物袋を抱えて歩く姿を確認したことから、「支援が必要ない状態」と判断して介護認定などを取り消した。市によると、介護事業所は02年に道の認可を受け、03年から訪問介護などの事業を開始。不正は少なくとも5年前から続いていたという。男性は7日、市の求めに応じて障害者手帳の返還に応じたが、調査には「歩けないのは間違いない」などと話し不正を否定しているという。
 男性経営者について、事業所の近くの女性は「階段も普通に歩いていたし、雪かきもしていた」。別の男性も「あんなの格好だけ。ほぼ健康な人と一緒だ」と話している。
 男性が自らの介護事業所を悪用したことも、発覚を遅らせた。サービスの利用者は自己負担分を支払い、事業者が残りの費用を自治体に請求するが、今回はサービス利用者と事業者が同じ。実態のないサービス費用を請求しても、わからない仕組みだった。
 市は「知識を悪用して金をだまし取ろうという意図は明らか」として、時効にかからない過去5年間の給付分約4千万円を返還請求するほか、詐欺容疑で告訴する方針だ。立件には当時の男性の健康状態の立証が必要となるが、市は「極めて悪質なので、警察と相談したい」と話す。
 介護事業所の指定をした道石狩支庁は「実態を確認し、今後の対応を協議したい」という。男性は90年に道保健予防課の主任で退職したが、道は「個人情報の観点から課長以下の過去の役職歴は公表しない」としている。
 市は今年、視覚障害を装った生活保護費の不正受給が発覚したのを受け、生活保護で障害加算を受けている4千人などを一斉に調査。すでに1人を詐欺容疑で告訴し、2人について継続調査している。


ヒトES細胞から脳組織 理研チームが成功
2008年11月6日 朝日新聞
 万能細胞とされるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、立体構造を持つ大脳皮質の組織を作り出すことに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターらのチームが成功した。4層構造で、胎児の脳組織にそっくりだという。6日付で米専門誌セル・ステムセル電子版に掲載される。
 これまで、ES細胞から心臓や神経の細胞はできていたが、複雑な立体構造と役割を持つ「組織」ができたのは世界でも初めて。脳ができる仕組みの解明や再生医療、新薬開発の研究につながると期待される。
 ES細胞の塊をバラバラにして皿の中で培養液に浮かせ、特殊な薬を入れると神経細胞ができる。1〜2日かけて、神経細胞の塊になるが、成功率は3割程度と低かった。笹井さんらは、成功率を上げるため、バラバラのES細胞が集まりやすいよう、小さなカップに小分けにして入れたところ、2〜3時間で塊になったという。成功率は7割に上がった。
 約6週間で直径約2ミリのマッシュルームのような形になり、断面をみると層構造ができていた。神経細胞が自動的に複雑な大脳の皮質を形作っていたことが分かった。
 大脳皮質は運動、思考をつかさどる脳の最高中枢。ヒトの大人では6層だが、胎児では4層の時期がある。作り出した組織には4層の皮質があり、胎児の組織とよく似ていた。
 笹井さんは「小さいカップで培養したことで、実際に胎児の脳組織ができる環境に似た状態になり、本物と同じような脳組織ができたようだ。」と話す。


学生無年金訴訟、札幌でも敗訴 最高裁「判例趣旨から明らか」
(11/01 北海道新聞
 学生の国民年金加入が任意だった時代に、重い障害を負った札幌市の男性四人が、未加入を理由に障害基礎年金が支給されないのは違憲だとして、社会保険庁と国に不支給処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は三十一日、原告の上告を棄却した。請求が棄却され、原告が敗訴した一、二審判決が確定した。
 裁判官三人全員一致の判決。古田裁判長は「無年金学生に立法措置を講じなかったことが憲法に違反しないことは、最高裁判例の趣旨から明らか」と述べた。
 原告はいずれも札幌市の田中士郎さん(56)、妻倉譲司さん(45)、山道直樹さん=昨年九月に四十九歳で死去し、妻が承継=、統合失調症の男性(47)。一審札幌地裁判決は立法措置がないことを合憲として原告の請求を棄却し、二審札幌高裁判決も控訴を棄却した。
 判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した札幌訴訟弁護団の佐藤太勝弁護士は「最高裁が障害者のことをどこまで考えているか疑問だし、憤りを覚える」と批判した。
 札幌市内で会見した原告の妻倉さんは、「特別障害給付金支給法が成立するなど、社会保障の在り方を問う訴訟となった」と振り返り、「今後は制度の欠陥や矛盾を運用などで改善する運動に取り組みたい」と話した。
 学生無年金訴訟は九件が最高裁まで争われており、統合失調症だった岩手県の男性が勝訴した一件を除いて、札幌訴訟も含めて七件が敗訴。大阪訴訟だけが続いている。


介助入浴やけど死亡、92歳が高温の湯で 福岡の施設
2008年10月29日 朝日新聞
 28日午前10時半ごろ、社会福祉法人朝倉恵愛会が運営する介護老人福祉施設「宝珠(ほうしゅ)の郷」(福岡県東峰村福井)から、「女性入所者が入浴中にやけどをした」と119番通報があった。県警によると、女性は武内サノエさん(92)で、胸から下にやけどを負い、搬送先の病院で約5時間後に死亡が確認された。施設側によると、浴槽の湯が高温になっていたという。県警は業務上過失致死の疑いもあるとみて関係者から事情を聴いている。
 朝倉署によると、同日午前、担当の女性職員がストレッチャーに乗せたまま武内さんを入浴させ、しばらくして武内さんの様子がおかしいことに気づいたという。
 河原智子施設長(63)によると、この日は入所者12人が午前10時ごろから順番に入浴。知らせを受けて駆けつけたとき、武内さんの胸から下は真っ赤になっており、浴槽の湯は触れないほど高温だったという。
 湯の温度は通常は40度前後に設定されており、職員には湯加減をみてから入所者の入浴介助をするように指導しているという。
 武内さんは01年8月から入所。寝たきりで意思表示も不自由だった。入浴は普段から職員が介助をしていた。施設では寝たきりの高齢者の入浴を介助する際は、まずストレッチャーに乗せたまま浴槽の湯をくんで体を洗い、その後で浴槽に体を入れるようにしているという。
 河原施設長は「巡回のとき、職員が浴槽の湯ではなくシャワーで武内さんの体を洗っているのを見た。このため、職員が事前に湯加減をみていなかったのかもしれない」という。浴槽の湯が高温になっていたことについては「まだ職員から詳しい話を聞いておらず、わからない」と話した。
 同署は、湯の温度を確認しないまま武内さんを入浴させ、目を離していた可能性もあるとみて、詳しい経緯や死因などを調べている。
 河原施設長は「あってはならないことが起きて申しわけない。責任を感じている。武内さんの家族には誠意をもって対応し、再発防止に努めたい」と話した。


労災適用ミス20年 道労働局 蓄尿袋、患者負担に 対象1000人に通知
(10/23 北海道新聞
 脊髄(せきずい)損傷などで排尿に支障を来した道内の労災患者が、本来は労災保険が適用され、自己負担なしで支給されるはずの蓄尿袋を、北海道労働局などの誤認により、二十年近く自費で購入させられていたことが二十二日分かった。後遺症を抱える北見市の男性の指摘で判明し、労働局は今年六月、蓄尿袋を使用している可能性のある約千人に文書で通知した。
 蓄尿袋は、尿道に入れた管(カテーテル)から排出される尿を一時的にためる装具。合成樹脂製などで一枚四百-六百円程度。多い人で月に十枚近く使うこともある。
 厚生労働省によると、労災の後遺症が残る人に対し、一九八九年からカテーテルと蓄尿袋を全国の労災指定病院で無償支給している。ただ、同省が患者や病院に配布している労災保険の手引には、「尿路処置」を支給対象としているものの、具体的な装具として明記しているのはカテーテルだけだった。
 このため道内の労災指定病院に誤認が広がり、ほとんどの病院でカテーテルしか無償支給していなかった。労働局はこの事実を把握していたが、同様に誤認していたため改善を指導しなかった。
 昨年四月、尿路処置に不可欠な蓄尿袋が対象外とされていることに疑問を抱いた男性が厚労省に問い合わせ、労働局の誤認が発覚した。
 労働局は昨年八月、装具支給の窓口の労災指定病院に詳細を連絡。その後、今年七月までに各病院の窓口に延べ七十件の蓄尿袋の請求があった。今年六月には、排尿に後遺症が残ることが多い脊髄損傷の労災受給者ら約千人に文書で通知した。
 厚労省は、道外でも同様の実態があるとみて確認を進めるとともに、手引の記載の見直しを検討している。
 八年前から月十枚前後、総額で五十万円以上を負担してきた北見市の男性は「長年、受給者に自己負担させてきた責任は大きい。返還すべきだ」と話す。労働局労災補償課の安東修一郎課長は「(手引の)文面からは、支給できないと判断していた」と釈明。厚労省は返還について「現段階ではコメントできない」としている。


ウイルス使わずiPS細胞 山中教授ら、マウスで作製
2008年10月10日 朝日新聞
 ウイルスを使わずに万能細胞(iPS細胞)を作り出すことに、京都大の山中伸弥教授らがマウス実験で成功した。がんになる恐れのあるウイルスを使わない作製法は世界で初めて。医療への応用をめざし、安全性を高める一歩と期待される。9日付の米科学誌サイエンス電子版に掲載される。
 iPS細胞は、体細胞に3〜4種の遺伝子を導入して作る。その際、レトロウイルスなどの感染力を利用して細胞への運び役に用いていた。しかし、レトロウイルスは細胞の核の中にある染色体に入り込むため、重要な遺伝子を傷つけ、がんになる恐れがあった。
 山中教授らは、従来の4種類の遺伝子を導入する際、ウイルスに運ばせるのではなく、遺伝情報を伝える性質を持つ環状の運び役(プラスミド)に、遺伝子をつないで組み込み、マウスの胎児の皮膚の細胞に入れた。この方法は、細胞に遺伝子を導入するのに以前から使われていたが、複数の遺伝子を並べて同時に働かせるのが、難しかった。今回、複数の遺伝子のつなぎ方を工夫して、細胞の染色体の外で同時に働かせることに成功した。
 作製したiPS細胞を調べると、導入した遺伝子が染色体の中に入り込みにくく、安全性が高いことが分かった。従来のiPS細胞と同じく、神経組織などの細胞に変化する能力も確認できた。
 ただ、作製効率は従来のウイルスを使った手法の100分の1以下と低い。また、マウスの胎児の細胞をもとに作っており、今後、大人のマウスや人でできるか調べる。
 山中教授は「細胞移植治療に用いる、より安全な細胞作りに向けた大きな一歩。今後は作製効率の向上や人の細胞で取り組みたい」と話す。


駅のバリアフリー、道内は遅れ気味? JR北海道58%、札幌地下鉄57%
(10/01 北海道新聞
 国土交通省は三十日、一日平均五千人以上が利用する鉄道駅のうち、67%に当たる千八百八十一駅がエレベーターなどの設置で段差を解消し、同省などの定めるバリアフリー基準を満たしたと発表した。
 今年三月末時点のJR、私鉄、地下鉄の二千七百九十七駅が対象。道内はJR北海道が十八駅で58%、札幌市交通局は二十六駅で57%で、ともに平均を下回った。完全にバリアフリー化しているのは、仙台市交通局、京都市交通局、福岡市交通局の三カ所。最も達成率が低かったのは、東京メトロで17%だった。
 同省は、二〇一〇年までに一日の乗降客五千人以上の駅すべてをバリアフリー化する目標を掲げているが、前年比で4ポイントの上昇にとどまった。


救急搬送「1時間以上」が2割 北渡島・桧山など6圏域 昨年
(09/29 北海道新聞
 昨年一年間の道内の救急搬送で、二十一の二次医療圏のうち「北渡島・桧山」や「日高」など六圏域で、119番通報から病院収容まで一時間以上かかったケースが百件を超え、その割合も二割を上回ったことが、道のまとめで分かった。脳卒中などは、発症から一時間以内の病院収容が必要とされるが、地域によって救急体制に大きな格差があることが、あらためて浮き彫りになった。
 道は、道央圏に続く道内二機目のドクターヘリの配置地域を選定する基礎資料とするため、道内の各消防本部の昨年の搬送件数を二次医療圏ごとに集計した。
 救急搬送は道内全体では一万九千四百八十九件あったが、そのうち13%にあたる二千五百六十四件が一時間以上の搬送だった。一時間以上が「百件」「二割」を超えた六圏域は、41・8%の「北渡島・桧山(渡島管内八雲町や長万部町など)」、39・5%の「日高(日高管内)」、39・1%の「根室(根室管内)」などの順だった。六圏域の一時間以上の搬送の合計は千百十五件に上り、全道の一時間以上の搬送の約半数を占めた。
 また、「北渡島・桧山」「日高」「根室」と「宗谷(宗谷管内)」は、隣接する医療圏に運び出した件数も、全体の二割を超えた。
 道は二十四時間の救急医療体制を、各二次医療圏内で確保することを目指しているが、これらの医療圏では、脳神経外科など救急医療に対応できる医師や医療機関が不足しているため、救急搬送時間の長時間化につながっているとみられる。


iPS細胞がん回避 米ハーバード大チームが作製に成功
2008年9月26日 朝日新聞
 がん化する恐れをなくした万能細胞(iPS細胞)を作ることに、米ハーバード大のコンラッド・ホッフェリンガー准教授のチームがマウスで成功した。万能細胞をつくる際に、細胞核の遺伝情報に影響を与えないウイルスを使った。25日付の米科学誌サイエンス(電子版)に発表された。
 iPS細胞は、ウイルスを使って特定の遺伝子を細胞内に送り込んでつくる。チームは、細胞内に入るが細胞核には入り込まないアデノウイルスという風邪ウイルスの一種を使って、がん化する恐れを回避した。細胞核は遺伝情報をつかさどっている。作製した万能細胞に、がん化の兆候はないという。ただ、作製効率は従来の方法より低く、今後の課題となる。
 このウイルスは、iPS細胞の開発者である京都大の山中伸弥教授も安全性向上の方法の一つとして名前を挙げていた。これまでは、レトロウイルスやレンチウイルスを使った。これらは細胞核の遺伝情報を書き換えるため、がん化などの長期的リスクが指摘されていた。
 iPS細胞の安全性向上の研究は世界中で加速しており、ウイルスの改良のほか、ウイルスを使わずに化合物のみで作製する方法なども試みられている。他の方式に比べ、現時点では、高い安全性の見込めるiPS細胞ができたことになる。


ネット診療好評 札幌のNPO実施 神経難病患者「安心感ある」
(09/11 北海道新聞
 札幌のNPO法人「道神経難病研究会」が、インターネットを利用した遠隔診療に取り組んでいる。パソコンが普及する中、ウェブカメラを設置すれば医師が自宅にいる患者を診察できる仕組み。テレビ電話を使った従来の遠隔診療と比べ設備費が少なくてすみ、「通院回数が減った」と患者にも好評だ。
 道によると、パーキンソン病や脊髄(せきずい)小脳変性症などの神経難病の患者は道内に約一万人。患者は定期的な通院が必要だが、専門医は札幌などの都市部に偏っており、地方の患者には金銭面、身体面で大きな負担となっている。
 企業などの寄付で運営する同研究会は、容体が安定していれば通院しても問診や視診ですむことから、インターネット利用の診察を研究。ウェブカメラ八台を購入し、六月以降、後志管内泊村と北見市、留萌市の患者三人に無償で貸し出した。
 月一回、札幌に通っていた泊村の脊髄小脳変性症の男性(48)は「六月以降は一度しか通院していないので体が楽。調子が悪くなったら医師とすぐに『会える』安心感も大きい」と喜ぶ。三人を診るさっぽろ神経内科クリニック(札幌市東区)の深沢俊行院長は「視診する上で画像に問題はない。容体が安定していれば三カ月に一度の通院と月一回のネット診察で十分」。
 同研究会によると、テレビ電話での遠隔診療の場合、患者側の設置費用は五万円前後で、毎回通信費もかかることから普及は進んでいない。ネット利用の場合、パソコンがある家庭だと、ウェブカメラの設置費約七千円程度ですむ。
 日本遠隔医療学会の東福寺幾夫理事(高崎健康福祉大教授)は「ウェブカメラを使った遠隔医療は珍しい。今後の動向を注目したい」と評価している。問い合わせは同研究会(電)011・787・7400へ。


万能細胞を高効率で遺伝子操作 埼玉医大など新技術
2008年8月27日 朝日新聞
 ヒトの万能細胞(ES細胞やiPS細胞)を効率よく遺伝子操作する技術を、埼玉医科大と京都大などのグループが開発した。米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
 目的の遺伝子を細胞に送り込む際、各種のウイルスが運び屋(ベクター)として広く使われる。今回、殻の部分だけにしたアデノウイルスに目的の遺伝子を入れ、細胞に感染させて送り込む新たな技術を開発した。
 ヒトのES細胞による実験では、従来の倍以上の97〜98%の効率で遺伝子を送り込めた。ウイルス自身の遺伝子を含まないため安全性が高いほか、多くの遺伝子を詰め込めるという。
 一方、ヒトのES細胞では、細胞内の狙った染色体に遺伝子を組み込むのは難しいが、今回、従来の50倍近い効率で組み込めた。埼玉医科大の三谷幸之介教授は「ES細胞やiPS細胞をより確実に神経や肝臓、心臓などの細胞に分化させることが可能になる」と話す。


障害者自立支援法は「違憲」 11人が不服審査申し立て
2008年8月13日 朝日新聞
 障害者自立支援法が定めるサービス利用料の原則1割自己負担は憲法や障害者基本法に反するとして、東京、埼玉、大阪、兵庫の計11人が13日までに、負担の免除を求めて各知事と神戸市長に行政不服審査を申し立てた。
 7月には東京、埼玉、大阪、滋賀、京都、広島の17人が申し立てており、1割負担の撤廃を求める「障害者自立支援法訴訟」を視野に入れた不服審査請求は計28人となった。
 神戸市北区の吉田淳治さん(67)は13日、兵庫県と市に不服審査を申し立てた。全盲のため食事や掃除などの家事援助と外出時の移動支援のサービスを受け、1カ月に計6千円の利用料を払っている。妻しず子さん(71)も全盲で、移動支援サービスに月3千円を払っており、13日、市に不服審査を申し立てた。
 県庁で記者会見した吉田さんは「ひと月の主な収入は私と妻の障害基礎年金計16万円余り。このなかから9千円を出すのは、負担が非常に重い。(障害者という理由で)掃除をしたり道を歩いたりするのに利用料を払わなければならないのは、健康で文化的な最低限度の生活とはいえない」と話した


リハビリ中の事故多発 「医療機関、予防策を」
(08/13 北海道新聞
 日本医療機能評価機構(東京)は13日、高齢者などのリハビリテーション中の事故が、全国約560の医療機関で2004年から07年にかけて計24件発生していたと発表した。機構は「報告以外にも相当数の事故が起きていると思われる。予防可能なケースが多く、各医療機関は危険性の調査をして事故防止策を検討すべきだ」としている。
 厚生労働省によると、リハビリ中の事故についての全国調査はあまり例がない。
 機構のまとめによると、24件のうちリハビリ中の運動に伴う骨折や筋断裂などが19件、やけど4件、原因不明による骨折が1件だった。障害が残った可能性が高いケースも1件あった。
 医療機関からの報告では「目を離したすきに患者がベッドから転落した」「患者の骨が想定以上に弱くなっていた」などが原因に挙げられていた。機構の後信医療事故防止事業部長は「多忙な中で漫然と危険性を見過ごしている医療機関もある」と指摘している。


「目的税化」賛成が6割超える 消費税 内閣府調査
(07/23 北海道新聞
 内閣府が実施した社会保障に関する調査によると、消費税の社会保障目的税化に六割超が賛成し、年齢が高くなるほど支持率も上昇する傾向があった。
 調査は二-三月、全国五千人(道内約六百人)を対象に実施され、有効回答数は88・3%だった。
 消費税の社会保障目的税化について、「賛成」「どちらかといえば賛成」が61・4%、「反対」「どちらかといえば反対」が28・9%だった。年代別の賛成割合は二十-二十四歳で46・3%、四十五-四十九歳が60・5%、六十五-六十九歳が77・4%で年齢が上がるほど高まった。
 消費税は、所得税や各種保険料に比べ、勤労世代に負担を集中させず、高齢者にも広く負担を求める。高齢者ほど目的税化を歓迎する傾向が強いことに、内閣府は「目的税化で社会保障の給付財源が確保されることを評価するからでは」と分析している。
 また、社会保障制度(年金、医療、介護)の将来像の選択肢として、48・3%が「給付削減・負担維持」を選んだのに対し、「給付維持・負担上昇」は半分の24・0%だった。一人当たりの社会保障費の給付が減ることよりも、負担増への抵抗感の方が大きいことがうかがえた。


障害者応援企業、道がPR 商品定期購入や積極雇用…
(07/23 北海道新聞
 道は、障害者授産施設からの物品購入などを通じて障害者を支援する企業の取り組みをPRする事業「アクション2008」を始める。障害者の支援で社会貢献する企業を増やす狙いで、道は参加企業を広く募っている。
 障害者を支援する企業を二〇一一年度までに二千社とするなどの目標値を盛り込んだ「北海道働く障がい者応援プラン」(〇七-一一年度)の一環。
 対象となる取り組みは、弁当やパンなど授産施設などからの定期的な商品購入やスーパーなどでの販売スペースの無償提供、法定雇用率の二倍(3・6%)を上回る障害者雇用など。道内に事業所がある企業が対象で、支援内容と社名が道のホームページで公表され、店頭掲示用の参加証も交付する。
 施設側には販路の拡大と売り上げ増、企業側には企業イメージ向上の利点があり、道は「企業と障害者の協働のため、目に見える社会貢献を」と参加を呼びかけている。問い合わせは、道障害者保健福祉課(電)011・231・4111へ。


無資格で灸・患部コロコロ…接骨・整骨院、やまぬ不正
2008年7月22日 朝日新聞
 接骨院や整骨院で治療する柔道整復師による不正な健康保険請求が後を絶たない。ビワの葉を使ったお灸(きゅう)、アルバイトを使ったマッサージ、治療日数の水増し……。手口はさまざまだ。毎年5千人もの柔整師が誕生し、生き残り競争が激化する中で、疑惑の請求も急増。最近の調査だと、3カ所以上のけがをしている患者が半数を超える異常事態に。こうした不自然な請求をやめさせる手だてが急務だが、行政の怠慢もあって有効策は打ち出せていない。
 ■柔整師がお灸?
 「ビワの葉の上からお灸をするとよくなりますよ」
 多くの患者にそういって、ビワ灸を勧め、不正請求を繰り返していた北九州市の柔整師(58)が3月、福岡社会保険事務局の指導を受けた。
 お灸治療の保険請求は、国家資格を持つ、きゅう師でも医師の同意が必要で、柔整師には一切認められていない。
 発覚のきっかけは、ビワ灸を受けた60代女性の告発だった。市への情報公開請求で自分の治療内容を調べると、肩や腰のねんざなど身に覚えがないけがが載っていた。
 社保事務局が調査に入り、ビワ灸による不正請求がわかった。灸では保険請求できないのでうそを書いたのだ。「振り替え請求」という手口だ。柔整師は朝日新聞の取材に「灸で健康保険から得た治療費は年100万円ほど。近く返還する」と非を認めた。
 ■動き回る患部
 手首からひじ、肩から腰などと、患部が次から次へ変わる「部位転がし」。長期にわたる治療の時にしばしば用いられる不正請求の手口だ。
 ある中学生が4年にわたって治療を受けた東京の接骨院の請求はこうだ。07年5月、右肩など3カ所の治療が行われ、6月には首の治療も加わった。7月に肩の治療が終わったが、代わりに左下腿(かたい)の肉離れが加わり、その後もけがの部位はめまぐるしく動き続けた。
 請求を受けた健康保険組合は典型的な部位転がしとみて昨秋、柔整師への支給を打ち切った。
 ■日数水増し
 「通院12日2万1597円」「通院13日2万470円」。大阪府の女性(45)は昨秋、藤井寺市の両親に届いた4月分の医療費通知をみて目を疑った。父母とも4日間しか通っていないはずだ。同じ接骨院に通う夫の通知も数カ月分、調べた。やはり通院日が3〜10日多かった。
 市に相談しても動かないため、自ら接骨院に詰め寄ると「入力ミス。調べる」と言ったきり、何の連絡もない。
 女性は内科の診療所に勤め、保険請求事務に詳しい。「病院や診療所の保険請求では、通院日の水増しなんて考えられない」と憤る。
 ■行政の怠慢
 行政が手ぬるいため不正がはびこるとの指摘が多い。
 神奈川県秦野市の接骨院は大学生ら無資格のアルバイトに肩こりや筋肉痛をほぐすマッサージをさせていた。これを知った近くの柔整師は05年、神奈川社会保険事務局に連絡し是正を求めた。だが、実際に指導があったのは07年度。この間にも複数の健康保険組合から指摘があり、ようやく重い腰を上げたのだ。
 この接骨院は今も新店ができるほど繁盛している。「系列店は今もアルバイトを使っている。行政は即刻、保険請求中止にすべきだが、相変わらず手ぬるい」と通報した柔整師の不満は募るばかりだ。
 行政の怠慢もあって柔整師の不正が発覚することは少ない。柔整師のうそを見破るには、患者一人ひとりに確かめなければならないからだ。
 6月、政府の経済財政諮問会議で医療費抑制のため、柔整師の請求適正化が議論されたが具体策は出ていない。
 〈柔道整復師〉 骨折、脱臼、ねんざ、打撲、肉離れの治療を行う。この五つのけがについては健康保険請求が可能。06年末現在約3万8700人だが、養成学校の急増で国家試験合格者は年5千人のペースで増えている。


万里の長城に車いす用エレベーター パラリンピック控え
2008年7月20日 朝日新聞
 世界遺産で急な坂道でも有名な中国北京郊外の万里の長城「八達嶺長城」に車いす用エレベーター2基が登場した。9月に開かれるパラリンピックの参加者や観戦に訪れた人に利用してもらおうとスロープも設置。長城を一望できる中腹の展望台まで登れるようになった。
 北京市内では故宮や天壇公園などの観光名所や各種交通機関でも同様にバリアフリー化が進む。パラリンピックを機に市民の意識も高めたい考えだが、認知度はまだまだだ。の不自由な父親に付き添ってきた男性は「ここに来て初めて知った」と驚いた。しかし「無理して坂を上ってもらうつもりだったが助かった」と話していた。


生活保護、過去最多に 5万2700人、高齢世帯で急増 昨年度の札幌市
(07/10 北海道新聞
 札幌市内で生活保護を受けている人が二〇〇七年度、過去最多の五万二千七百二人(三万五千四百六十七世帯)に達したことが九日、分かった。人口千人当たりの受給者数は二七・八人で全国平均の二・三倍。高齢者世帯の増加が著しく、市などは「年金の引き下げや医療費の負担増などで生活できなくなっている高齢者が増えている」と分析している。
 受給者の増加で、〇七年度の市の生活保護費は前年度比0・1%増の九百二十四億円となり、一般会計の一割以上を占める見込み。生活保護世帯の内訳は、高齢者世帯が38%、傷病・障害者世帯が34%、母子家庭が14%だった。
 市内の生活保護費受給者数は一九九〇年代前半は三万人前後で推移していたが、長引く不況を背景に九四年度から増加を続けている。全道平均に比べても高水準で推移。二〇〇六年度では、十五の政令指定都市(当時)で大阪市に次いで二番目に多かった。
 北星学園大社会福祉学部の木下武徳准教授(公的扶助論)は「病院の閉鎖などで、道内地方都市から札幌に移住した高齢者が、物価高騰のあおりを受け、生活苦に陥るケースも多い。生活保護は最低限保障されるべき公共サービスとして行政がしっかり行うべきだ」と指摘している。


サルのiPSで生殖細胞作製へ 滋賀医大など
2008年7月4日 朝日新聞
 滋賀医大などのグループは、サルの体細胞から新型の万能細胞(iPS細胞)を作製し、精子や卵子を作る研究を始める。それらを受精させて健康な子ザルが生まれるか確認することもめざす。人に近いサルのデータで、不妊症の原因解明や治療法の開発に役立てたいとする。
 滋賀医大の鳥居隆三教授らは京都大の山中伸弥教授らと共同で、年内にもカニクイザルの体細胞からiPS細胞を作り始める。その細胞をサルの胚(はい)に入れて、あらゆる組織の細胞になるか万能性を検証する。
 三菱化学生命科学研究所などと共同で、iPS細胞から精子や卵子のもとになる細胞を作る研究に着手。それらの生殖細胞を使って受精卵を作り、サルの子宮に移植して出産をめざす。精子や卵子の形成過程を調べ、不妊になる仕組みの解明などにつなげる。
 人の受精卵を壊して作る万能細胞(ES細胞)や人のiPS細胞では、精子や卵子を作ったり、受精させたり、子宮に戻したりすることは指針で禁止されている。
 一方、不妊の原因解明のために、精子や卵子を作り、受精能力を調べることを認めてもいいのではないかとの見方もあり、サルの研究が発展した場合には、議論をよびそうだ。実験は、大学や研究機関の倫理委員会などの承認を得た上で行う。
 万能細胞研究に詳しい京都大の位田隆一教授(国際法・生命倫理)は「サルでの生殖細胞の研究は、人のiPS細胞からの生殖細胞の研究の是非を考える重要な判断材料になる」と話す。
 一方、板井孝壱郎(こういちろう)・宮崎大学准教授(生命・医療倫理)は、「サルであっても、霊長類の生殖細胞をいじるということに率直に違和感を感じる。iPS細胞については、国家レベルの利権競争などの背景があり、倫理的な制御がききにくいおそれがある。研究をするな、ということではない。一大学の倫理委員会だけで是非を検討するのではなく、多くの人に広く知らせて、意見を聞いたうえで研究デザインを構築するべきだ」と指摘する。


車いすで気軽にタクシー 一般客との兼用車両開発へ 国交省
(06/28 北海道新聞
 体の不自由な人の外出を容易にしようと、国土交通省は28日までに、車いすのまま乗車できて、一般客向けの流し営業にも使えるタクシー車両の開発を始めた。欧米で導入されている福祉型兼用のタクシー車両を参考に、自動車メーカーと共同で本年度中に試作車を完成させ普及を目指す方針だ。
 欧米で実用化されたタクシー車両は、車いすで乗り込もうとする際には、後部座席を折り畳んでスペースをつくり、車内から乗降スロープを引き出して固定、車いすで登って入る仕組み。国内では、駅で乗客を待ったり、町中を流している一般のタクシーは全国で約27万台ある。車いすのまま乗り込めるタクシーはなく、障害者や高齢者らからは「車いすのまま乗り降りしやすいタクシーにしてほしい」との要望が高まっている。
 また現在、国内の自動車メーカーが販売している車いすのまま乗り込める車両は、主にリフト付きのワンボックス型。燃費は悪く、流し営業に求められる「5年で約50万キロ走行」という業界の耐久性の目安も満たしていないため、一般タクシーとしては使用されていない。


重度障害者666人拒否 後期医療制度に加入強制 道内
(05/14 北海道新聞)
 道が六十五−七十四歳の重度障害者に対し、医療費助成の条件として後期高齢者医療制度(長寿医療制度)への加入を事実上強制している問題で、対象者約三万八千人のうち、六百六十六人が新制度への加入を拒否していたことが十三日、分かった。
 道が同日の道議会保健福祉委員会で報告した。
 重度障害を持つ高齢者への医療費助成は各都道府県が市町村と共同で実施。七十五歳以上を対象に四月からスタートした新制度では、六十五−七十四歳の重度障害者の加入は「任意」となっているが、道は新制度加入を助成条件とした。
 新制度では窓口負担は原則一割だが国民健康保険などに残った場合は一−三割のため、助成する自治体の負担も重くなるからだ。制度開始前に道が各市町村に対して行ったアンケートでは九割が新制度への加入を助成条件として求めていた。道によると、道のほか、九県が同様の措置をとっているという。
 道内で新制度への加入拒否者が多かった上位三市は、札幌市百七人、苫小牧市三十八人、釧路市三十三人。


新医療制度、障害者は負担増も 10道県、補助の条件に
2008年05月07日 朝日新聞
 後期高齢者医療制度が始まった4月以降、65〜74歳の寝たきりなどの重度障害者が医療費の補助を受ける条件として、10道県22市町が新制度への加入を求めている。会社員に扶養され保険料ゼロだった障害者は、新制度に移ると保険料支払いを義務づけられるため、批判の声が出ている。
 国民健康保険の加入者ら保険料を本人負担してきた障害者も、所得や住む地域によって新制度の保険料の方が高くなる場合もある。全国49万人の重度障害者が、住む地域によって受けられる公的補助に大きな差が生じている。
 朝日新聞の調べで、新制度に加入しないと医療費補助を打ち切るのは、北海道、青森、山形、茨城、栃木、富山、愛知、山口、徳島、福岡の10道県。高知、広島両県によると、高知市、広島県の広島、福山両市以外の21市町も同様の対応だという。
 3月まで65〜74歳の重度障害者は、75歳以上の人とともに老人保健制度の対象だった。窓口負担は原則1割。それを道府県と市町村が半分ずつ(都は単独で)補助し、重度障害者は事実上無料のところがほとんどだった。
 新制度への加入は任意だが、加入しないと、窓口負担が4月以降は65〜69歳は3割、70〜74歳は2割(今年度は1割)と倍増する。新制度に加入すると1割。
 非加入者の窓口負担を従来通り無料とするには、その分必要な公費が増える。愛知県の試算では約14億円増えるほか、徳島県も最大2億円増と見込む。富山県の担当者は「新制度加入を条件とした理由に、財政負担が増えることもある」と話している。
 高知市は非加入者への補助打ち切りについて、「県から、非加入者への補助は、従来通り1割分の半分と言われたため」と説明する。
 ほかの37都府県は、新制度に加入しない人にも補助する。「新制度加入は任意。補助対象を加入者に限定できない」(群馬県)という。ただ、福島、石川、広島、愛媛各県は「公平性」を理由に、非加入者への補助額は、新制度に加入した人の窓口負担と同じ1割分にとどめる。
 新制度の保険料は、全国平均で年額7万2千円。重度障害者もいる「全国腎臓病協議会」の栗原紘隆・常務理事は「新制度に入らなければ補助を受けられないのは、事実上の強制加入。新たに保険料を払わねばならない被扶養者や、保険料が増える人の場合は加入しなくても補助を受けられるようにしてほしい」と訴える。
 厚生労働省は「(補助は)自治体独自の事業。(新制度に加入するかしないか)それぞれのメリット、デメリットを判断してもらうしかない」と話している。


新医療制度 障害者に事実上強制 道と8県 助成、加入が条件
(04/17 北海道新聞)
 七十五歳以上を対象に四月から始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、任意加入の対象である六十五−七十四歳の障害者について、北海道や愛知県など少なくとも九道県が、窓口負担を補助する重症心身障害者医療費助成を受けるには新制度への加入を条件としていることが十七日までに、全国腎臓病協議会の調べで分かった。
 調査は二月時点。同協議会が十六日、民主党の会合で示した。同協議会や障害者団体は「事実上、加入を強制しているほか、都道府県によって不公平が生じるのは問題だ」と訴えている。助成制度は全都道府県が単独事業として実施している。
 後期高齢者医療制度では窓口負担は原則一割だが、国民健康保険などに残った場合は一−三割のため、助成する自治体の負担も重くなる。九道県が加入を助成の条件としているのは、財政負担を軽くしたいためとみられ、ほかにも同様の運用をしている自治体があるという。
 六十五−七十四歳で新制度の対象となるのは、一定程度の障害者のほか、寝たきりの人や人工透析患者など。新制度に加入しない場合は、市町村に原則その旨を申請する。
 道によると、道と市町村は従来、六十五−七十四歳の障害者の場合、老人保健制度(窓口一割負担)に加入していることを条件に、所得に応じた医療費の助成を行っていた。四月以降は、後期高齢者医療制度加入をこの助成の条件とした。
 道が制度開始を前に市町村に調査したところ、「財政負担増のリスクが高まる」ことを理由に、九割の市町村が後期高齢者への加入を医療費助成条件として求めていた。
 このため、道と市町村でつくる後期高齢者医療広域連合は一月中旬までに市町村を通し、対象者に対して原則として新制度への加入となることを通知。その際に、国民健康保険に残ることも選択できると記したという。
 同協議会によると、九道県を除く都府県の大半は、どちらを選択しても助成制度を従来通り継続しており、被扶養者の障害者は負担が軽い方を選べる。同協議会の栗原紘隆常務理事は「自治体の財政状況によって、障害者の医療負担に不公平を生むべきではない」と道などの対応を批判している。広域連合は「従来の助成を受けてもらうためには、新制度に移行してもらう必要があったが、もう少し分かりやすく説明する必要があったかもしれない」としている。


リハビリに壁 新たに時間制限導入 「医療水準保てない」増す苦悩
(04/08 北海道新聞)
 国は、二年前に医療保険が適用されるリハビリテーションの日数を一疾患当たり最大百八十日に制限したのに続き、今年四月から、特例で上限を超えてリハビリを続けている患者を対象に新たな時間制限を導入した。道内には医療保険でリハビリを受けたくても受けられない人が数千人に上るとみられ、今後、こうした患者がさらに増えるのは必至だ。
 国は二〇〇六年四月、運動器疾患などのリハビリ患者に対し、医療保険を適用できる期間を疾患別に九十−百八十日に制限した。医師の診断で症状に改善が見られた患者は特例で上限日数以上のリハビリができるが、国はさらに今年四月の診療報酬改定で、上限日数を超えたリハビリに月あたり計四時間二十分の上限を設定した。
 これに対し、勤医協中央病院(札幌)の平賀なつえ技師長(作業療法士)は「いままでと同じ水準のリハビリができない患者が増えてしまう」と懸念。札幌南一条病院の八田香緒里・理学療法士も「呼吸器系疾患の患者はリハビリに時間がかかる。毎日やることが必要なのに」と戸惑う。
 九年前に脳卒中を煩ってから続けていたリハビリを、二年前、国の日数制限で打ち切られた札幌市の主婦(65)は「国は規格を作って、それに無理やりはめこもうとしている」と批判。今も左足はひざから下が動かない状態で、「同じように苦しんでいる仲間がたくさんいる」と話す。
 全国保険医団体連合会推計では、医療保険でリハビリを受けられない人は、道内の数千人を含め全国約二十万人に上る。国は上限日数を超えた患者に対し、介護保険でリハビリを続けるよう促すが、介護施設に専門家が少ないなど体制が整っていないのが実情。
 わずかでも患者の改善部分を見いだし、上限日数を超えたリハビリを続けている西円山病院(札幌)の伊藤隆リハビリテーション部長(作業療法士)は「そもそも高齢者に急激な『改善』を求めること自体が問題。国の制度は年々厳しくなっており、現場は危機感を強めている」と話す。


在宅介護78%「困難」 全道意識調査 「介護療養病床存続を」56%
(04/04 北海道新聞)
 北海道消費生活コンサルタントクラブが全道で実施した療養病床に関する意識調査で、自分や家族が要介護者になった場合、78・5%が在宅介護は困難とし、受け皿として、半数以上が国が削減方針を示している療養病床の存続を望んでいることが明らかになった。
 調査は、道消費者協会の消費生活リーダー養成講座の修了者でつくる同クラブが、各地の消費者協会を経由して会員や市民八百人を対象に昨年九月に実施した。回収率は88・1%。
 在宅介護が困難な理由(複数回答)では、「他の家族に頼れない」が43・4%と最も高く、「自分も高齢」34・9%、「容体の急変が心配」28・6%と続き、高齢者世帯増加や老老介護が背景にあるとみられる。在宅介護が困難な場合に何を望むかについては、56・2%が「(介護保険で利用できる)介護療養病床の存続」と答え、「介護老人福祉施設(特養)」が46・7%、「(医療保険で利用できる)医療療養病床削減の緩和」が41・1%と続いた。
 国の方針を受けて、道は、医療療養病床については約一万八千七百床と現状を維持するものの、介護療養病床は約八千七百床すべてを二〇一一年度末までに削減し、削減分のうち約六千五百床を介護老人保健施設(老健)などに転換する目標を示している。
 調査を担当した札幌消費者協会理事の北上尊司さんは「療養病床の削減に多くの人が不安を感じていた。早急に対応しないと高齢者が難民化する恐れがある。行政も本腰を入れて対応する必要がある」と指摘している。


生活保護費の障害加算調査を強化 新年度から道 実態と等級比較
(03/29 北海道新聞)
 聴覚障害の身体障害者手帳の不正取得疑惑を受け、道は二十八日までに、生活保護費を受給している身障者に対する加算分について支給が適正かどうかを新年度から調べるよう、全道の十四保健福祉事務所と札幌を除く三十四市に求めることを決めた。生活保護費を受けているすべての障害者が対象。実態を把握し、疑問があれば医師の再検診を要請するほか、手帳返還者の不正が確認されれば、過去にさかのぼって支給された障害者加算分の返還を求める。
 道保健福祉部によると、札幌市を除く道内で生活保護費の障害者加算分の受給世帯は、昨年七月現在で一万千七百八十二世帯。加算分は障害程度と居住地域で異なるが、今回の疑惑で手帳返還者が多い赤平市や芦別市の聴覚障害等級二級の場合は、年二十七万七千二百円が支払われる。
 保健福祉事務所などは保護費受給世帯に月一回から年一回、生活保護法による定期訪問調査を行っている。今後はこの訪問時に、加算支給されている障害者の実態と等級を比較し、疑義があれば医師の診断を求める。
 また、手帳返還者にはまず、加算支給を停止し、返還理由や支給開始時の障害の状況などを調査。不正があれば過去の加算分の返還を求める。
 道保健福祉部は「(聴覚障害の不正疑惑で)身障者手帳の返還が広がっており、全道の実態調査を急ぎたい」としている。


07年の医療事故1266件 前年からほぼ横ばい
(03/19 北海道新聞)
 大学病院や旧国立病院から2007年に報告された医療事故は1266件で、前年の1296件からほぼ横ばい状態だったことが19日、日本医療機能評価機構のまとめで分かった。
 事故の程度は「死亡」が142件、「障害が残る可能性が高い」が163件で、最も多かったのは「障害が残る可能性が低い」の559件だった。
 診療科別では整形外科が157件とトップで、外科120件、内科109件、消化器科107件と続き、傾向は前年とほぼ同じだった。
 同機構の報告書によると、事故内容は手術部位の左右取り違えや、薬の取り違え、薬の投与量の間違えなど。ベッドからの転落や歩行中の転倒などのケースが増えたが、同機構は「実際に増えたというより、軽微なものでも報告するという意識が高まったからではないか」と分析している。
 医療事故の報告は、国が04年から医療安全に役立てるため、大学病院や国立病院機構の病院など計273病院に義務付けた。


生活保護の通院交通費を限定へ 滝川市の事件で基準改定
2008年03月04日 朝日新聞
 厚生労働省は4日、生活保護受給者が病院や診療所に通院する際の交通費の支給基準について、原則、災害現場からの緊急搬送や、移動困難な患者が転院する場合などに限ることを決めた。新年度から実施する。北海道滝川市で、元暴力団組員とその妻がタクシー会社と共謀して約2億円の介護タクシー代金を不正受給する事件が起きたことから、厚労省が対策を検討していた。
 生活保護の受給者は医療機関に通院する際の交通費が高額になると、通常の保護費のほかに「通院移送費」を受け取れる。しかし、現行は「最小限度の実費」との規定があるだけで明確な基準がなく、自治体の判断に委ねられていた。
 元組員らはこの制度を悪用し、実際は札幌市に住んでいたのに滝川市から札幌市まで介護タクシーで通院したように見せかけ、往復で1回30万円程度を受け取っていた。滝川市も、監査委員や顧問弁護士から指摘を受けていたのに、不正を見過ごしていた。
 ただし、緊急や転院時以外でも、電車やバスの利用が困難な人、へき地のため通院に高額の交通費がかかる人などについては、自治体が個別の事情を審査したうえで支給を認める。


イメージで機械自在 障害者の生活を支援 北海学園大、システムを開発
(03/04 北海道新聞)
 脳波を利用し、さまざまな機械類を頭の中のイメージ通りに高い精度で動かすシステムを、北海学園大工学部の山ノ井高洋教授(生体工学)の研究グループが開発した。四肢が不自由な人などがパソコンや介護機器を自在に操ることも夢ではなく、研究グループはさらに実験を重ねて実用化を目指す。
 山ノ井教授は、右脳の「中前頭回」(前頭葉の右上部)が「上下左右」の方向を判断する役割を担っていることに着目。中前頭回付近の頭部三カ所に電極を装着し、人間が、操作画面に映った上下左右の漢字と矢印を思い浮かべた時の八種類の脳波のパターンを測定、データをコンピューターに入力した。
 実験は、タイヤが付いた缶詰型のロボットに、赤外線を使ってこのデータを送信。上下左右の各信号で「前進」(上)、「左旋回」(左)、「右旋回」(右)、「停止」(下)の動作をする正確さを調べた。
 ロボットは「命令」に対して即座に反応。漢字を思い浮かべた時の脳波のパターンでは83%、矢印の場合では85%の正確さで動いた。
 同様のシステムは国立身体障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)や民間企業がすでに開発しているが、頭で考えてから実際に操作できるまでの時間が十数秒かかったり、動作の正確さも50%程度にとどまっているという。
 研究グループは、実際に脳波キャップをかぶった人からロボットに直接命令を送った場合でも約二秒で作動するとみており、今後、実証実験に乗り出す。実用化に向け、考えてから操作するまでの時間の短縮や動作の精度についても、さらに向上させる考えだ。
 山ノ井教授は、このシステムを応用することで「両手足が不自由など重い障害がある人たちが車いすで思い通りに移動したり、パソコンなどで意思を伝えたりすることが可能になる」と期待している。


障害者支援企業2000社に 11年度目標 工賃増へ道が素案
(03/02 北海道新聞)
 道は、授産施設などで作業する障害者の工賃を増やすため、障害者を支援する企業を二○一一年度までに二千社とするなどの目標値を盛り込んだ「北海道働く障がい者応援プラン」の素案をまとめた。昨年度施行された障害者自立支援法により負担が増えた障害者の収入アップ策の一環。積極的な支援を行った企業に対する認証制度も新設する。
 プランは、障害を抱え就職が困難なことから、道内の施設で雇用契約を結ばずに作業している障害者を応援するのが狙い。道によると、こうした障害者の月額工賃は○六年度で平均約一万五千円。道は工賃を一一年度までに倍の三万円以上に伸ばす目標を定め、その実施計画として「応援プラン」を策定する。
 プランでは《1》二千社の支援企業を公募・公表《2》すぐれた支援をした企業百社への認証制度新設《3》六割の障害者施設で工賃向上計画を策定《4》全市町村でも支援策を策定・公表−などの目標を設定。「公募・公表」では、授産施設の製品を活用したりして障害者の仕事を増やした企業を募集し、支援内容を冊子やホームページで公表する。認証制度は、支援内容が充実している企業を道が認定・表彰し、企業は認証ワッペンを使って商品などをPRできるようにする。
 このほか施設の作業を増やすための共同受注の仕組みとして、福祉団体や経済団体による「マッチング機関」を新たに整備。企業の需要と授産施設が提供できる作業・製品を把握し、相互に紹介する。プランは年度内に決定し、新年度から本格実施する。
 障害者自立支援法は、施設で作業する障害者にも食費や光熱費、施設利用料を課したため、障害者の収入アップ策が課題になっている。


電動車いすに基準 経産省、安全策の義務化検討
2008年02月27日 朝日新聞
 電動車いすで高齢者や身体障害者が死亡するといった重大事故が相次いでいるため、経済産業省は電動車いすの安全基準づくりに乗り出す。関係省庁との協議を踏まえ、安全確保装置の搭載などを義務づける方向で検討を進める。
 議論の場として経産省所管の独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)が29日に研究会を設立。ここに経産省、国土交通省、厚生労働省、警察庁のほか、介護団体や国民生活センターなどが加わる。3月末までに提言をまとめる。
 研究会ではまず、電動車いすの商品テストや過去に起きた事故を検証し、安全基準の義務づけが必要かを検討する。基準が必要と判断した場合には、重大事故の報告をメーカーに義務づけた改正消費生活用製品安全法(消安法)の特定製品に指定することも視野に入れる。指定されると、国が定めた検査を受けないと販売できなくなる。
 電動車いすの運転は歩行者と同じ扱いのため、免許がいらない。道路交通法では、車いすの車体の大きさや上限速度などの規定があり、それらを守れば認定マークを付けられる。ただ、任意のためマークがなくても販売でき、法的強制力のある安全基準はなかった。
 電動車いすの事故は、メーカーなどに重大事故の報告を義務づけた消安法が施行された昨年5月以降、転倒や踏切事故など8件が報告されている。うち死亡が5件と重大事故につながる確率も高く、対策を迫られた。


万能細胞を臨床応用、山中・京大教授が研究拠点構想
(2008年2月27日 読売新聞)
 さまざまな細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を作製した山中伸弥・京都大教授は26日、政府の総合科学技術会議の作業部会で、大阪大と共同でiPS細胞の早期の臨床応用を目指す研究拠点構想を明らかにした。
 同会議も京大を中心とした拠点整備の支援を打ち出しており、実現すれば、基礎研究の枠を超え、臨床応用を含めた広範な研究が同時進行する体制が整うことになる。新たな拠点は、「iPS細胞研究統合推進拠点」。世界に対抗するオールジャパンの核として期待される。
 iPS細胞の研究拠点には、1月に創設された山中教授をセンター長とする京大iPS細胞研究センターがあるが、iPS細胞をどう作るかなど基礎研究が中心だ。これまで日本では基礎研究の成果を臨床に結びつけたり、知的財産を確保したりする仕組みが脆弱(ぜいじゃく)で、日本発のiPS細胞研究が臨床段階で海外に追い抜かれる懸念があった。
 新たな拠点は、基礎研究の成果を迅速に臨床現場で治療に応用することを目指すもので、筋肉から作った細胞シートで重い心臓病の治療に成功した大阪大の澤芳樹教授ら実際に病気の治療に当たる臨床医などを取り込み、再生医療の実現を図る狙いがある。
 拠点では、重症心不全のほかパーキンソン病など現在治療が難しい病気を対象とし、具体的な病気の治療技術の開発のほか、臨床応用に向けた安全性の確保や評価の方法、移植したい細胞を効率よく作り出す方法などの研究を推進する。また、治療法を開発する研究で派生する知的財産の管理・運営、先端研究の倫理問題などを検討するため、法律や生命倫理などの専門家も参加する。
 山中教授は「一日も早く臨床応用にたどり着くには、現在のiPS細胞研究センターだけでは難しい。iPS細胞に関連するすべての研究を包括的に実施したい」と話している。
 同会議の作業部会はこの日、山中教授を中心としたオールジャパンの研究体制を早期に構築するため、派生した関連特許を一括管理する体制を整備するなどの方策をまとめた。


再生医療学会、ES細胞に関する規制緩和を要望へ
(2008年2月26日 読売新聞)
 再生医療の研究者でつくる「日本再生医療学会」(中内啓光理事長)は、さまざまな臓器・組織の細胞に変化できる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)に関する文部科学省の規制の緩和を求める声明を出すことを決めた。
 現行の規制が続けば、京都大の山中伸弥教授が開発した新型万能細胞(iPS細胞)を使う再生医療の足かせにもなると判断した。3月14日に名古屋市で開く学会総会で、山中教授も同席して発表する。
 ES細胞は生命の萌芽(ほうが)である受精卵を壊して作製するため、倫理的に問題があると指摘される。文部科学省は2001年に運用を始めた研究指針で、人のES細胞の作製や使用の計画について、国と研究機関による二重審査を求めているほか、専用の研究室を設けるように義務づけている。


万能細胞、臨床研究へ指針 厚労省が安全性確保狙い
2008年02月24日 朝日新聞
 体細胞からつくる万能細胞(iPS細胞)を使った研究が進む中、人への臨床研究についてのルールがないことから、厚生労働省は臨床研究の指針づくりに乗り出すことを決めた。研究班を立ち上げて3月末までに問題点を整理した上で、早急に指針をまとめる。
 iPS細胞はさまざまな組織や臓器のもとになる能力があり、拒絶反応のない細胞移植や再生医療などへの応用が期待されている。しかし、治療法の確立に欠かせない臨床研究について、ルールを定めた指針などはまったくないのが現状だ。
 このため厚労省は臨床研究の安全確保のための指針が必要と判断した。iPS細胞の作製から人への移植までの過程で生じる問題点などを研究班で検討し、新年度からの指針づくりにつなげる。
 先端生命科学を応用した臨床研究では、骨髄中の造血幹細胞など体にもともとある幹細胞については、臨床研究指針がすでにある。遺伝子を組み込んだ細胞を体内に入れたりする遺伝子治療でも指針が定められている。
 iPS細胞は昨年11月に京大などが「作製成功」を発表して以来、研究が急速に進んでおり、厚労省は指針づくりが後手に回らないよう、こうした現行指針の活用、拡充なども視野に、指針づくりを急ぐ。


介護ベッドの手すりからむ事故相次ぐ 注意呼びかけ
2008年02月15日 朝日新聞
 介護ベッドの手すりやすき間に首を挟まれるなどして高齢者が死亡したり重傷を負ったりする事故が相次ぎ、昨年秋以降で死亡事故3件、重傷事故2件が起きていることが15日、経済産業省のまとめでわかった。同省は利用者らへの注意を呼びかけている。
 同省製品事故対策室によると、昨年12月25日、愛知県で60代の男性がベッドの手すりのすき間で首をつった状態で見つかったほか、1月21日には香川県で80代の女性が、右側の手すりと手すりの間に首を挟まれている状態で見つかり、いずれも死亡した。
 重傷事故のけがは、骨のひびや腕の神経まひ。11月4日、都内で女性がベッドから立ち上がろうとした際につかまっていた手すりがずれて転び、胸の骨にひびが入った。手すりを動かないようにするロックレバーが摩耗した上に負荷がかかり、ロックが解除されたという。
 対策室は「メーカーは利用者や介護者に周知してもらう努力をしてほしい」と話している。
 都内の女性が重傷を負ったケースはパラマウントベッド社製で、同社は新しい部品の無償提供をする。対象品は「スイングアーム介助バー」(型式KA—095)。問い合わせはフリーダイヤル0120・33・5872(18日から)。


マウスの肝臓・胃からiPS細胞、臨床応用に一歩前進
(2008年2月15日 読売新聞)
 皮膚から様々な臓器や組織の細胞に変化できる新型万能細胞(iPS細胞)を作った京都大学の山中伸弥教授らの研究グループが、マウスの肝臓や胃の細胞からもiPS細胞を作ることに成功した。
 従来のiPS細胞よりがん化しにくく、体の色々な細胞からより安全なiPS細胞を作れる可能性が広がった。臨床応用に向け、さらに一歩前進した。15日の米科学誌サイエンスに発表する。
 山中教授らは、ウイルスを運び役にしてがん遺伝子を含む4個の遺伝子を、人やマウスの皮膚に組み込んでiPS細胞を作った。しかし、マウスのiPS細胞を使った実験では、3割にがんができた。その後、がん遺伝子を含まない方法でマウスのiPS細胞の作製にも成功したが、さらに安全な細胞の作製研究を進めてきた。
 皮膚の代わりとなる細胞として、人でも比較的採取しやすい肝臓と胃に注目。4個の遺伝子を導入する方法でiPS細胞を作ることに成功した。皮膚とは違い、肝臓や胃の細胞で作ったiPS細胞からは、がんはできなかった。3遺伝子でも作ることができた。
 遺伝子の導入に使うウイルスは細胞の核内にある染色体を傷つけてがん化の引き金になる恐れがある。肝臓や胃の細胞では、染色体に入り込むウイルスの数が、皮膚の5〜10分の1にとどまっており、ダメージが少ないため、がん化しないらしい。山中教授は「肝臓や胃でも内視鏡などで細胞を採取でき、臨床応用は可能。さらに良い方法を探っていきたい」としている。
 理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの西川伸一・副センター長は、「どんな組織からでもiPS細胞ができることがわかった。様々な細胞を調べれば、これまで以上に安全で効率よくiPS細胞を作れるだろう」と話している。


万能細胞のがん化、ほぼ回避 京大の山中チームまた前進
2008年02月15日 朝日新聞
 さまざまな細胞や組織になりうる万能細胞(iPS細胞=人工多能性幹細胞)を治療に応用するにあたり、大きな障害と考えられてきた細胞のがん化は、iPS細胞をつくる際に特定の遺伝子を使わなければ防げることが、京都大の山中伸弥教授らの研究グループによるマウス実験でわかった。遺伝子の運び役のレトロウイルスががん化に関与していないことが解明されたためだ。14日付の米科学誌サイエンス電子版に発表する。
 これまでiPS細胞は、細胞の遺伝子に溶け込む性質を持つレトロウイルスに4種の遺伝子を乗せ、皮膚の細胞に入れてつくっていた。このiPS細胞を使って大人のマウスを育てると、2割という高率でがんが発生し、安全性に疑問が出されていた。
 山中教授らは、がん化の原因について(1)4種の遺伝子のうち、c—Myc(シーミック)遺伝子が起こしている(2)4種の遺伝子を入れるのに使ったレトロウイルスが、染色体にあるがん発生に関係する遺伝子を刺激する、という二つの可能性を考えた。(1)の要因については昨年、c—Myc遺伝子を除いた3種の遺伝子でiPS細胞をつくり、26匹のマウスを100日間育てたところ1匹もがんにならなかったことから、可能性が高いことがわかっている。(2)の要因は、ウイルスが入る場所が少なく、追跡しやすいマウスの胃粘膜や肝臓の細胞からつくったiPS細胞で調べた。その結果、ウイルスは、がん関連遺伝子を刺激するような場所に入っておらず、がん化はc—Myc遺伝子を使わないことで防げる可能性が高まった。
 山中教授は「レトロウイルスを使うのは、考えていたほど危険ではないことがわかった。さらに調べて安全性を確認、応用の基礎を固めていきたい」と話している。


電動ベッドの安全確保を要望 国民生活センター
(02/06)北海道新聞
 国民生活センターは6日、大手通信販売業者3社が販売する低価格電動ベッド4機種について「重大な事故につながる可能性がある」とし、販売業者や関係機関に安全性をより高めるよう改善を要望した。
 昨年12月、愛知県豊田市の男児が首を挟まれ窒息死した事故を受け、事故があったベッドを販売した通信販売会社ベルーナが扱う別の2機種、セシール、ニッセンが販売する各1機種を対象にテストをした。
 いずれもマットをモーターの力で下降させるタイプで、何かを挟み込むと自動停止する機能がなかった。マットとヘッドガードとの間に挟まれた際にかかる力は、下降時にモーターを使わないタイプの約12−4倍あった。このためセンターは「低価格の商品もモーターの力が加わらない構造にするべきだ」などとしている。
 このほかリモコンのボタン形状が不具合を起こす可能性がある製品や、リモコンに電源スイッチがないなど安全性への配慮に欠ける製品があったという。


iPS細胞の講習会 理研が08年度から計画
2008年02月05日 朝日新聞
 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が、京都大の山中伸弥教授らが開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)の扱い方などの研究技術を伝える講習会を08年度から開く計画を進めていることが分かった。再生医療にかかわる大学や公的研究機関、製薬企業などの研究者たちを対象にする。
 同センターは、iPS細胞から網膜細胞などの様々な細胞や組織を作り出す研究を進めている。これまでに蓄積した胚(はい)性幹細胞(ES細胞)のデータとの間で機能を比較分析し、メカニズムの解明にも取り組む。iPS細胞を含む幹細胞研究は、国を挙げて推進する。それを支援する中核組織の一つとなる。同センターの笹井芳樹グループディレクターは「3年内に多くの研究施設でiPS細胞を使ってもらいたい。成果や技術を伝え、研究のすそ野が広がるように支援していきたい」と話している。


腰痛にも再生医療 椎間板の変性防ぐ 東海大が臨床研究
2008年02月04日 朝日新聞
 東海大は4日、重い腰痛などの原因となる椎間板(ついかんばん)変性の患者を対象にした再生医療の臨床研究を今春から始めると発表した。背骨をつなぐ椎間板にある細胞を骨髄液内にある幹細胞で活性化させてから患者に戻す手法だ。世界でも例がない取り組みで、1月に厚生労働省に承認された。
 責任者の持田譲治・同大医学部教授(整形外科)によると、4月をめどに始め、3年計画で、腰椎(ようつい)椎間板ヘルニアや腰椎分離症、腰椎椎間板症に苦しむ20歳以上、30歳未満の患者10人を対象にする。こうした患者は傷んだ椎間板を摘出して、その代わりに骨盤の骨を入れて固定する手術を受けるが、しばしば隣接する椎間板も変性が進む。
 臨床研究では、この摘出した椎間板から、変性を抑制する働きを持つ髄核細胞を利用。患者本人の骨髄液中にあって、骨や筋肉などさまざまな組織になる幹細胞とともに、この髄核細胞を一緒に培養して活性化させる。活性化させた髄核細胞を変性を起こしている椎間板に注入し、病状悪化を防ぐのがねらいだ。人の髄核細胞を使った事前の実験では、単独で培養するより活性が5倍になり、マウスに注入しても細胞ががん化するなどの異常はなかった。
 国内の腰痛患者は800万〜1000万人とされ、このうちの約半数は腰椎椎間板の変性が引き金になっているとみられる。


難病ALS 進行関与の細胞特定、治療法開発に期待
2008年02月04日 朝日新聞
 全身の運動神経が侵される難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の進行に、神経細胞のネットワーク作りに重要とされるグリア細胞のうちの2種類が関係していることを、理化学研究所などのチームが突き止めた。治療法の開発につながる可能性がある。3日付の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス電子版に発表する。
 理研脳科学総合研究センターの山中宏二・ユニットリーダーらは、特定の細胞から遺伝型のALSに関係する遺伝子変異を取り除けるモデルマウスを作った。このマウスを使い、グリア細胞のうち、神経細胞を支え養う働きがあるアストロサイトから、変異型遺伝子を取り除いた。すると病気の進行が大幅に遅れた。また、傷んだ神経細胞を修復する働きがあるというミクログリアが病巣で神経細胞に障害を与えていることもわかった。ALSの進行を遅らせる有効な治療法として、この二つのグリア細胞を標的とした幹細胞治療法や薬剤の開発が考えられる。


呼吸器戻し忘れ患者死亡 八尾徳洲会総合病院
2月1日 産経新聞
 大阪府八尾市の八尾徳洲会総合病院で昨年12月、看護師2人が女性患者(87)の人工呼吸器を外したまま目を離し、約1時間後に女性が死亡していたことが1日、分かった。八尾署が業務上過失致死容疑で捜査している。
 調べでは、亡くなったのは平成15年7月から同病院に入院している八尾市内の女性(87)。ガンなどを患い、寝たきりの状態だったという。昨年12月17日午前10時ごろ、20歳代の女性看護師2人が体をふくため、人工呼吸器を一時的に外したが、作業が終わった後に付けるのを忘れ、その場を離れたという。午前11時ごろ、女性患者がぐったりしているのが見つかり、まもなく死亡が確認された。
 病院側は同日中に八尾署に「入院患者が死亡し、人工呼吸器の付け忘れが原因かもしれない」と通報。同署が司法解剖を行ったが、死因は特定できなかったという。
 同病院の松田康雄副院長は「事故が起きて患者さんが亡くなったことはおわびしたい。事故と死亡の因果関係については警察の判断を仰ぎたい」としている。


負担増、北海道が最大
2008年01月30日 朝日新聞
 生活必需品の値上げの影響が深刻だ。家計に与える負担額が、道内は全国で最も高いことが民間シンクタンク、第一生命経済研究所(東京都)の調査で分かった。道内はひと月あたり3965円の負担増で、全国の約2・4倍。負担額が最も少ない沖縄の5倍。地域格差が鮮明だ。灯油価格の高騰が大きく、消費者心理の冷え込みが目立ってきた、という。
 調査は、総務省の消費者物価などを元に食料、光熱水道費などの生活必需品の価格動向と消費額を全国10地区を対象に分析。それぞれの価格が近年の底値から足元でどれだけ上昇したかを集計するなどして値上げが家計への負担をどれだけ増加させたかを算出した。その結果、道内は03年1月を底値に、最近の07年11月では家計負担額が3965円増えていた。次いで増加額が多いのは東北の2854円、四国の2350円。これに対し、関東は1552円、東海が1679円。沖縄は765円で、全国平均は1676円増だった。
 調査を担当した同研究所の主任エコノミスト、永浜利広氏は「食料費と衣料品購入の負担額が減少しているのに全体の負担額が上昇している」と分析結果を明かす。灯油代の値上がりがいかに大きいか、を物語る。


iPS細胞で生殖細胞禁止 文科省方針 再検討の余地も
2008年01月29日 朝日新聞
 京都大が作製した万能細胞(iPS細胞)から精子や卵子などの生殖細胞を作る研究は当面禁止する方針を文部科学省が固めた。iPS細胞研究が加速する中、倫理問題をはらむ研究には早期に歯止めをかける必要があると判断した。1日に開く科学技術・学術審議会の生命倫理・安全部会で正式決定する見込みだ。
 iPS細胞や胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から展開が考えられる生殖系の研究には(1)精子や卵子を作る(2)作った精子や卵子を受精させる(3)受精させた胚を子宮などに戻す、などの段階がある。研究が先行していたES細胞では、現在(1)からすべて禁止している。
 文科省は、iPS細胞はES細胞のように受精卵を壊すことはないが、当面はES細胞と対応をそろえるのが妥当と判断した。ただ、ES細胞では、「精子や卵子を作って受精させることや、受精能力があるかどうかを調べることまでは認めてもいいのではないか」との「一部解禁」が論議されている。結論が出れば、iPS細胞の規制も見直すことになる。
 iPS細胞からの生殖細胞作製については、一人の体細胞から精子と卵子を作れば事実上のクローン人間ができる可能性があるとして、倫理的な規制を求める声がある一方、不妊症の原因解明などにつながるとして期待も寄せられている。


京都大、iPS細胞研究センターを設置
2008年01月22日 朝日新聞
 京都大は22日、山中伸弥教授らが世界で初めて作製したヒトの万能細胞(iPS細胞)の研究拠点「iPS細胞研究センター」(センター長・山中教授)を発足させた。基礎から臨床応用の研究まで担う。世界的な競争に対抗するオールジャパンの研究態勢を築くための中核になる。
 センターは「世界トップレベル研究拠点」として昨年文部科学省から選ばれた京都大の「物質—細胞統合システム拠点」の柱の一つとの位置づけだ。人材の雇用や予算など、運営の権限は山中教授に任せる。京都市内の民間研究施設「京都リサーチパーク」内にオフィスを借り、2年後をめどに拠点施設を建設する。
 国内外から選ぶ教授陣らによる複数の専任チームのほか、京都大の研究者が兼任で参加する。まず、専任のうちの山中チームと5チームほどの兼任チームが、万能細胞のさまざまな細胞、組織への分化・誘導や、人体への安全性の確認などの研究に取り組む。会見で、山中教授は「10年、20年という息の長い研究にするために若い人が切磋琢磨できる、世界に貢献するセンターにしたい」と述べた。
 重い心臓病をもつ患者の心臓に「心筋シート」を張る臨床研究をしている大阪大の澤芳樹教授らは、山中教授らからiPS細胞の提供を受けて共同研究に乗り出す。iPS細胞を使うことで、質の高い心筋細胞を増やせる可能性があり、心臓の収縮力を高めることが期待できるという。
 iPS細胞を使った京都大との共同研究は、慶応大や理化学研究所などもすでに始めている。


介護士が送迎中に事故、患者の女性3人死傷 岡山
2008年01月12日 朝日新聞
 12日午後4時5分ごろ、岡山市吉原の市道で、介護士の伊達利行さん(30)=同市=運転のワゴン車が道路脇の電柱に衝突。後部座席に乗っていた同市西大寺射越、無職高取智恵子さん(93)が全身を強く打って間もなく死亡した。ほかに、同乗の女性(68)が両手首骨折の重傷。別の女性(87)も胸を打つ軽傷を負った。西大寺署が事故原因を調べている。
 調べでは、現場は伊達さんが勤める介護老人保健施設「日立養力(ようりき)センター」の近く。同施設によると、高取さんらは施設でのリハビリを終え、それぞれの自宅に戻る途中だった。高取さんは車いすごと後部座席に乗車し、シートベルトなどで二重に固定していたという。伊達さんは昨年9月に施設に就職しており、普段から送迎を担当していた。


「ぬらりひょん」緒形拳、腰椎圧迫骨折してた
1月12日 夕刊フジ
 俳優、緒形拳(70)が、腰椎(つい)圧迫骨折で入院、手術を受けていたことが分かった。腰椎圧迫骨折とは、骨粗しょう症や転倒などの影響で脊椎を構成する腰椎に強い力が加わり、その圧力で骨がつぶれるもので、自身のブログで明らかにした。手術は成功し、12日退院する。
 これまで大病やけがとは無縁のイメージだった緒形だが、昨年はHNKの大河ドラマ「風林火山」に出演した後、10月21日の福岡を皮切りに、11月25日の長野まで、再演となるひとり舞台「白野」の地方巡業(10カ所14公演)をこなしてきた。この間、激しい腰痛を抱えていたという。
 終演後の12月は、マッサージなどで自宅療養をしていたが痛みが治まらず、精密検査の結果、腰椎圧迫骨折が判明した。このため、つぶれた背骨に特殊なセメントを注入して固定する「椎体形成術」を受けた。緒形はブログで≪おかげさまで手術は大成功! 明日、退院する運びとなりました。これから、リハビリを開始。あせらず、ゆっくりと体調を戻していきます≫と、元気な様子を報告している。
 緒形は3月1日公開の映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」の日本語吹き替え版でアフレコを務めるほか、今夏公開の映画「ゲゲゲの鬼太郎」の最新作で、鬼太郎の宿敵である大妖怪「ぬらりひょん」を、50年におよぶ俳優人生で初の特殊メークで演じることが発表されたばかり。


岩見沢労災病院「北海道中央」に 4月統合 美唄は「せき損センター」
(01/11 北海道新聞) 【岩見沢、美唄】岩見沢、美唄両労災病院の統合再編計画が十日までにまとまった。両病院は四月一日に統合、岩見沢は本院として「北海道中央労災病院」に名称変更し、分院となる美唄は「せき損センター」と改称、来年四月以降は脊髄(せきずい)損傷医療を軸とした診療に特化する。
 美唄は四月に名称変更し、医師不足で継続困難となっている夜間、休日の救急診療を脊損診療を除いて原則取りやめる。来年四月からは、十八ある診療科を整形外科、リハビリ科など脊損医療関連の八科に絞る。人工透析など脊損以外の外来、入院患者については一年間かけて転院を進める。
 美唄の病床数は現在の三百床を百五十七床に削減し、約二百五十人いる看護、事務などの正職員は二○○九年度までに約百六十人に減らす計画。当初は今年四月から脊損医療に特化するとしていたが、脊損以外の患者の転院などに準備期間が必要と判断した。岩見沢は従来通り十二診療科体制を続ける。脊損医療は交通事故などで脊髄を傷つけ全身まひになった患者らに手術からリハビリまでを一貫して施し、社会復帰を促す治療。道内では美唄労災病院が唯一の医療機関となっている。


山中教授がセンター長に 京大の万能細胞研究拠点
2008年01月10日 朝日新聞
 山中伸弥・京都大教授らが作製に成功した万能細胞(iPS細胞)研究の拠点となる京都大のセンターが月内にも正式発足することがわかった。将来的に10人ほどの教授陣に加え、100人以上の研究員が集う場にする構想。センター長には、山中教授が就任する。
 10日にあった万能細胞研究の支援体制を検討する文部科学省の作業部会後、京都大の松本紘理事が明らかにした。京都市内にレンタルオフィスを借りて早急に活動を始めるほか、年内に仮設の施設を設置。2年後をめどに建物を完成させる計画だという。
 知的財産は大学本部で管理し、センターを担当する弁理士や弁護士を置く。山中教授が所属している京都大再生医科学研究所を国内の研究者が共同利用できる施設に変更し、iPS細胞研究への参加を促す方針だ。
 また、関係各省の支援方針も同日出そろった。国の総合科学技術会議の作業部会で報告された。経済産業省は、iPS細胞を薬の効果や副作用の検出に使うための研究開発を京都大と共同で07年度中に始める。作製効率を上げる手法の開発なども支援する。厚生労働省は、医薬基盤研究所を通じ、来年度も1億円弱の研究費を助成する。利用時の指針を整備するための準備や、細胞培養に必要な専門施設の整備などを進め、再生医療全般で研究を支援する。
 文部科学省は、臨床試験手前の研究事業を08年度に30億円規模で始める。内訳は、iPS細胞に関連した病気のモデル細胞作りなどの基礎分野に10億円、神経細胞や血球などへの分化誘導技術開発などの応用に10億円。また、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や体性幹細胞を含む幹細胞研究全般にも10億円を充てる。京都大での知的財産権保護も支援する。


万能細胞の鍵、データベース開発へ 京大・経産省など
2008年01月10日 朝日新聞
 京都大が開発した万能細胞(iPS細胞)研究を支援するため、経済産業省は、iPS細胞作製や臓器の元になる細胞への分化に必要な遺伝子を効率的に見つけ出すため、データベースなどを京大に提供し、解析手法を共同で開発する方針を決めた。米国などの追い上げが激しく、日本が主導的な立場を維持するために研究の加速が急務とされている。
 10日に開かれる総合科学技術会議の作業部会で報告する。経産省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や産業技術総合研究所、生物情報解析研究センターなどが、これまでの関連研究の成果を提供し、京都大と共同開発する計画だ。
 京都大の山中伸弥教授らは、人の皮膚細胞に四つの遺伝子を組み込んでiPS細胞の作製に成功した。ただ、人間の遺伝子は約2万2000あるとされ、山中教授の場合は無数の組み合わせから24の遺伝子を選び出すまでに4年、さらに実際に成功した四つの遺伝子の組み合わせを見つけるまでに数カ月かかった。
 新たな解析手法やデータベースを使うことで、万能細胞の作製や、様々な臓器などへの細胞の分化に使える可能性が高い遺伝子の組み合わせを、効率的に抽出。短時間で大量に検証することができるようになる。また、iPS細胞作製の際、がん化の危険を避けるため、遺伝子の代わりに使う化合物の探索などにもNEDOなどが蓄積した研究成果を提供する。
 万能細胞をより高い効率で安全に作製するための新たな候補遺伝子探しは、すでに米国では10を超える研究機関で始まっているとも言われる。
 国内ではこのほか、厚生労働省が所管の独立行政法人である医薬基盤研究所を通じ、来年度は1億円弱の研究費を助成する方針を新たに決めた。細胞培養に必要な専門施設の全国的な整備などで、研究を支援する。


障害者就業を派遣で後押し 札幌市、人材会社と連携 新年度から人件費補助
(01/09 北海道新聞) 働く能力がありながらも就労する場所がない障害者のため、札幌市は2008年度から、人材派遣会社を通じて障害者を企業に派遣する「元気はっけん(派遣)事業」を実施する。障害者の雇用促進を目的に人材派遣会社を活用するのは全国初。市障がい福祉課は「派遣社員から始めることで、正社員になる道を開きたい」としている。
 事業は重度の身体障害者(一、二級)と知的、精神障害者を対象とする。人材派遣会社に登録した障害者を企業が採用した場合、企業が人材派遣会社に支払う人件費の一部を、市が肩代わりする。企業側は経費を削減でき、障害者は就労のチャンスを広げることができる。
 市によると、○七年六月現在、札幌圏(札幌市、江別市、石狩市、当別町)で障害者の法定雇用率(1・8%)を満たしている企業は約四割にとどまっている。中でも、知的、精神障害者については企業側が「どんな仕事ができるのか分からない」と敬遠するケースが多かった。
 このため、市は企業とのパイプを持っている人材派遣会社に着目。正社員になるまでに「派遣社員」として一定期間雇用してもらうことで、障害者に対する企業側の理解を深めることにした。事業は当面一○年度までの三年間で、事業費は三千五百万円。
 市は今後、市内の人材派遣会社と交渉して、業者を選定する。派遣会社には、障害者の雇用にかかわる専門部署を設置してもらう。また市は派遣前の実習や就労した障害者への研修などのサポートも実施する予定。




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