札幌天文同好会会報　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　No.138　2001年　臨時増刊号

「木星食」の観測

生田　盛

　8月16日(木)未明にあった「木星食」(月が木星を隠す現象)ついて報告いたします。
　当日、天候が気になりましたが、幸い快晴に恵まれました。木星本体・4ガリレオ衛星の潜入・出現を全て観測(録画記録)することができました。
迫力のあるエキサイティングな現象を、はじめて見ることが出来ました。
　この現象は新聞報道によると57年(18年前に九州であり) ぶりと極めて珍しい現象です。

１．観測方法
(1)方法：ビデオカメラによる録画観測で、時
刻基準にはNTT時報を使用しました。
(2)場所：札幌市西区琴似
　141.30E　43.07N　H=30m
　　　
２．観測機材
(1)望遠鏡　　 　：C14(35cm、F3910mm)
(2)ビデオカメラ ：Soｎｙ　TR3000(改修)
　　　　　　　　　　HI-8方式、直焦点撮影
(3)赤道儀：恒星時運転
(4)時 刻 ：NTT時報を音声トラックに同時録音
(5)採 時 ：NTT時報に同期した映像デジタル
　　　　　　　カウンターを目視読みとり
　
３．気象条件
(1)現象開始10分程前に厚い雲におおわれ心配したが、観測時間内は快晴。
(2)シーイング：3/5
　 　　　気温：22℃　雲量：1/20

４．潜入・出現

　　　第1表の通り。

　　　　　第１表　潜入・出現時刻
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（4回読み取りの平均時刻）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　時刻精度：現象読取誤差±0.4秒、　NTT時報・カウンター同期誤差±0.1秒 総合誤差±0.5秒程度
　　　 　　：潜入読取り誤差より出現読取り誤差は小さく(1/2以下)、且つ＋側誤差となる。
　誤差要素：シーイングによる像の揺らぎ・肥大、本体縁の不明瞭、衛星の面積
　　　　　
５．潜入・出現　画像
　「木星食」進行の様子をビデオからキャプチャーした写真です。　　
　　 　 　　　　　　　　　　 　　　　　　
画面左下の数字は1/10秒単位の時刻表示です。

　写真１　木星本体の潜入

写真２　　木星本体の出現

2001年8月16日未明の木星食

柴田健一

早朝の木星食を観測しました。気圧配置から自宅と古潭観測所はあきらめて、西区新川へ移動しました。
1時頃は全く風も雲も無い絶好の天候でしたが、少しずつ南南東方向から、雲が湧いたり消えたりしていました。
日の出時刻は北にも広がっていましたが、運良く潜入と出現には影響ありませんでした。
　木星が隠れるのではなく、月に突き刺さるように接触したように見えました。
再度ビデオで見ても、写真にして見ても同じような錯覚に囚われます。
水平走査線の影響でしょうか。
　出現は、地球照を頼りに待ち構える予定でした。
ビデオでは月の闇縁が全く分からず、出現の瞬間を記録できませんでした。
しかし、ファインダーで覗くことが出来て、（まだ見たことはありませんが）日食のダイヤモンドリングを彷彿させる素晴らしい光景でした。
　肉眼で見ると、真っ青な空に浮かぶ月と木星が美しく、金星が花を添えていました。
　今回の反省は、倍率を上げていた（コリメート法なので計算していないが、200倍以上）ので、極軸を正確に合わせておきべきでした。
観測中、数分おきに修正が必要で、安心して観望でませんでした。
また、モータードライブのギヤーのロックが緩んでいて、バックラッシュが大きかったことです。

撮影条件は以下のとおりです。
１０ｃｍ屈折赤道儀＋ＸＰ２４＋ＢＯ５（ＣＣＤ改造）＋ビデオカメラ（ＬＸ−１）
撮影場所：札幌市西区新川西2条4丁目1〜2番地
E141.17.3.6　N43.07.25.4

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出現中の木星　左側は衛星「イオ」

4時18分ころ、全てが出現した様子
（１０ｃｍ屈折赤道儀＋XP２４＋デジカメ）
左下から、イオ・木星・エウロパ・カリスト・ガニメデと月（印刷では衛星が見えないかも知れません）

4時9分ころ、木星出現直後の様子
デジカメ、35ｍｍフイルム換算105ｍｍで撮影
　下にあるのは金星

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