LEONIDS 2000

 

2000年のしし座流星群は、11月17-19日まで2泊3日の計画で、昨年同様に帯広まで遠征したので

紹介する。

 

11月17日は、23時ころ音更町と上士幌町の境界付近で機材をセットした。西野さんから電話が入り、

更別にいるが雪が降り出したとの情報が入る。低気圧が近づいていいるので、こちらも回復は期待

できない。結局、ビデオ装置のチェックをしただけで25時ころ撤収した。この後、西野さんは清水町ま

で移動したが、天候は回復しなかったそうである。

 

アッシャー理論による極大は18日12:44と16:51(JST)である。後者は日本から輻射点は見えないから

全く観測できないが、前者の輻射点は西の地平線近くにかかっている。昨年話題になった「白昼の流

星」を通常のビデオカメラで撮影する計画を進めていた。

18日は朝起きると10cm以上の雪が積もっており、止む気配がなかった。念のため、10時ころから観測

場所を探しを始めた。雪が降っていることもあり、ホテル9階のエレベータホールの西向きの大窓を見つけ

、屋内から観測することにした。11時からビデオカメラをセットしたが、日高山脈の雲がきれだし、12:30

には快晴になった。息子と二人でこの窓から、西の地平線を睨んだ。しかし、目印の月はもう沈んでしま

ったし、流星らしいものは全く確認できなかった。真っ青な空に飛ぶ流星をコントラスト良く映し出すため、

ビデオカメラにR2のフィルターをかけたのだが、赤が強すぎた。黄色系統が良かったようだ。

エレベーターホールから観測中の昼間のしし座流星群

 

あまりにも早い天候の回復に、いつまで続くかと心配をしていたら、18時ころから冬型の気圧配置が強

まって、激しく雪が降りだした。20時半ころ南へ向かって走りだし、帯広の街を出たところで、雪は止んだ。

しかし、風が強く「嵐」であった。さらに南に走った更別では、北からの雲は追って来なくなったが、相変

わらず風が強い。大樹町まで来ると空はすっかり晴れてたので、観測場所を探す。ジプシー観測の第一は

”風のない場所を選ぶこと”である。農家の納屋の陰などが良いが、北側に防風林を背負った東西に延び

た農道を発見。辺り一面積雪状態であるが、ここだけは雪がなく風もほとんど吹かない絶好の場所だ。

見つけた息子が自慢するので、良くやったと誉めてやる。二人での観測はこのような時、心強いものだ。

左の防風林は、北風と雪を遮ってくれる
道路にシートを引いて観測した

 

ビデオ装置を組み立て始めたのが、22時ころ。月は23時半ころ上がってくる。それまでのに生田さんに改造

していただいた「ビクセンBO5−3M」の最微等級を確認しておく必要があった。ビデオカメラのファインダー

で見ると、肉眼と同程度によく見える。月が上がってからも、離れている場所は最微等級が落ちなかった

ため、期待とおり5等級まで写っていた。下弦の月が昇るにつれて、その周りは明るくなるので、オリオン座

の方向を見ながら、眼視とビデオ観測を行った。

オリオン座を横切るしし座流星   

BO5-3M(CCDチップICX254AL)+6mmF1.2によるしし座流星

北海道広尾郡大樹町にて

 

上記の撮影に使用した機材

 

 下図は遠征期間中、自宅で稼働していたFM流星観測装置(FRO)による観測結果である。

18日深夜からエコーが増加し、11:10の10分間に24個のエコーが受信されている。これ以後も、エコーは

増加したが、しし座流星群の輻射点が低くなるため減少したと推定されれる。なお、15-19時にかけては、

天候不順のため電波状況が悪く、欠測となった。

 

 

「定山渓冬の陣」について紹介

参加者は16人で発表件数は11件。この他、フリーのテーマ2件、フリーマーケット、

スポッティングスコープによる惑星観望など、酒を飲み温泉に浸かって、冬の夜長を星の話で語り明かしました。

○池端さん:ホームセンターで売っている材料で、電子シャッターカメラ(ペンタのMZなど)のコマンドバックを
 製作。 2万円以内の低価格で、簡単に作られます。

○児玉さん:2000年のしし群・ふたご群の眼視やビデオによる観測結果について。

○柴田:FM電波観測の結果を交えて、2000年のしし座流星群についてのレビュー、および2001年への期待
 について。

○鈴木(智)さん:流星痕用低価格分光器の製作とスペクトル観測の可能性について。数万円でシステムが
 作られて、高度な観測が出来ることに 注目が集まりました。

○大高さん:長焦点長時間露光による天体写真。今回の圧巻は、7時間20分露出したM101。日本で最も長
 い露出時間ではないでしょうか。 雑誌の印刷では表現できない、素晴らしいスライドショーでした。

○殿村さん:アラスカでのオーロラ観測。フジの400や800は赤が良く写る。1600は写らない。リバーサルは、
 目に近く写るとのこと。カーテン  状オーロラが近づいてきて来て、真上に来る様子は素晴らしかった。

○生田さん:高感度化に拍車がかかっているCCDの話など、ビデオカメラの高感度化について。
 先に柴田が上映した「しし座流星群」ビデオは生田さんが改造した、最微等級が5等級の
 ビクセンBO5での撮影。

○牛渡さん:米軍が放出した材料から、Paul Riniが再組み立てして製作しているアイピースの紹介。
 性能評価はしていないが、価格以上に良く見 えるらしい。現物を手にとって確認。

○笹野さん:昨年、幌加内で観測に成功したZC650のグレージング。ビデオでは、
 GPS時計のフラッシュと星の明滅が良く分かりました。

○佐野さん:超新星爆発の謎に迫る「CCDによる超新星多色測光システム」の紹介。
 貴方もやってみませんか。新しい発見の可能性がありますよ。

○殿村さん:ルーマニアで開かれた国際流星会議「IMO2000」について。
 ルーマニアの文化や会議のあとでアッシャーさんとダンスをしたなど、 肩の凝らない面白い話。

○フリーのテーマ
 望遠鏡の取り扱いについて:西野さん 女性が集まっていました。
 HROデモ:柴田 池端さんは、HROFFTでFM 観測をする事にしました。

○自己紹介:主にお仕事を中心にして紹介していただきました。

○フリーマーケット:(出品者:牛渡・児玉・殿村・柴田)
 お値打ち品ばかりで完売しました。

●来年は教職の方が参加しやすいように、1月第4週(2002年1月26-27日)とします。
 ぜひ、予定に組み込んでおいて下さい。

2月9-10日へ変更して決定しました。

2001年1月21日
定山渓冬の陣参加者集合写真

 

「定山渓冬の陣」HPへリンク

http://www2.snowman.ne.jp/~ikuta/jozankei/home.html

 

流星のHPへ戻る