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腰デバイス

 あなたは、パソコンのキーボードで文章等を打っているときに、範囲指定を する必要に迫られました。そんなとき、大抵の場合はマウス等のデバイスを使 いますね。しかしあなたは、わざわざキーボードのポジションからマウスまで 手を伸ばすのを煩わしいと思ったことはありませんか? きっと誰でもあるは ずです。
 もし、キーボードを使えるポジションから手を動かさずにポインタを操作す ることができれば、作業効率は飛躍的にアップし、精神的にもかなりのストレ ス軽減になるでしょう。
「腰デバイス」は、そのように手を煩わせずにキーボードと併用して使えるデ バイスとして、考案されました。



腰デバイスのベストな形状とは

 一口に腰デバイスといっても、実際にはどのように駆動させれば良いのでし ょうか? 私が考えたものは、以下にあげる3タイプです。

1.ベルトタイプ
 腰にベルトを巻いて、ベルトと連結したコードの伸びを感知してポインタを 操作するタイプです。腰デバイスの3つのタイプの中でも、最も滑らかで繊細な 操作が可能だと思われます。ポインタのスピードを遅くすれば、腰を大きく動 かさなくてはならないため、体操のような効果が期待できるでしょう。
 さらにクリックは音センサーを使用し、指パッチンの音に反応してクリック されるようにします。多少ダブルクリックに熟練が必要ですが、こうすれば 周りからはあたかも軽快に踊りながらパソコンを使っているように見られるでしょう。
 ただ、指パッチンをすることによって多少キーボードが使いにくくなりますが、 この際見た目の楽しさには変えられません。
 欠点は、立った状態でなければ使えないことと、装着するのが若干煩わしい ことです。

2.椅子タイプ
 構造的には至ってシンプルで、キャスター付きの椅子の底にマウスと同様の 機構を付けるというものです。ワイヤータイプと比べると、自分の体重が掛かっ ているために操作性は落ちると思われますが、座って使用できる分デスクワーク 等に使うには現実的だといえるでしょう。
 さらに、パソコンを長時間使っていると、どうしても姿勢が崩れてくるもの ですが、椅子タイプのデバイスならその心配はありません。なぜなら、背筋を 伸ばしていないとうまく操作することができないからです。普段猫背の人も、 自然に背筋を伸ばすようになるでしょう。椅子タイプのデバイスを使っていれば、 ユーザーは無理なく姿勢を矯正することができます。
   ただ、パソコンが設置してあるのが机の上という状況でなければ使えないこ とが難点です。

3.座布団タイプ
 その名の通り、座布団にマウスのような機構を組み込み、それに座って腰を 動かすことによりポインタを操作するというものです。
 日本人の場合、パソコンを使うときは直に床に座ることも珍しくはありませ ん。寒いときは、ノートパソコンをコタツに入って使う人も多いのではないか と思います。椅子タイプのデバイスはそのような状況では使うことはできませ んが、座布団タイプならコタツで使ったり椅子に乗せたりと、状況に応じて臨 機応変な使い方が可能です。もちろん、姿勢の矯正にも威力を発揮するでしょ う。
 しかし、3つのタイプの中では最も操作性が悪いのがネックになっています。




腰デバイス使用レポート

 上記の3タイプの腰デバイスの中の一つ、座布団タイプのものを実際に製作 してみました。簡単に説明すると、2枚の板の間にマウスを挟めた構造になっています。 下の写真は、その外観です。

 左の写真は、フロッピーディスクとの比較です。板の大きさは35Cm四方で、 座布団やクッションを乗せるのに最適な大きさです。2本のコードの先には マウスのものを流用したクリックボタンがついています。

 右の写真は、腰デバイスの内部構造です。中心にマウス、その周りに 8個のベアリングがあります。球型ベアリングなので全方向へ動けます。 耐重量は1個20Kgなので、スペック上は160Kgまでの体重の人間なら使用 できます。
 1個1個のベアリングにはバネが仕込まれていて、底板の端まで行ったときでも 腰を浮かすことにより、マウスボールを浮かせることができます。
FDとの比較 内部構造
 では早速、この腰デバイスを使ってみることにしましょう。ここでは、使いやすいように 高さ約15Cmの台の上に乗せて、ノートパソコンに接続してテストすることにしました。
使用中

 実際使用してみると、横軸は割合すんなりと動いてくれるのですが、縦軸の動き はかなりつらいものがあります。人間の腰は、姿勢を崩さない運動の場合は基本的に 横運動の方が適していて、縦運動をするには体全体を動かさなくてはならないようです。 実際に試してみて初めて分かりました。
 例えばアイコンにポインタを合わせる際も、横軸は簡単に合わせられるのですが、 縦軸を合わせるのには四苦八苦です。ましてや、斜めに一直線にポインタを走らせて 一点に合わせるとなると、かなりの技量が必要になってきます。しかし、もう少し大きな ベアリングを使えば、少しは負担も少なくなるかもしれません。
正

 操作にも慣れてきたところで、腰デバイスを使用して字を書いてみることに しました。最初からあまり難しい字ではつらいものがあるので、曲線のない 漢字として、ありきたりなところで「正」という字を書いてみました。
 所用時間は思ったほどかかりませんでした。約1分というところでしょうか。 ちなみにマウスなら普通、3秒ぐらいですね。
悪戦苦闘の図

 当然、今度は更に難しい字に挑戦です。お題目として選んだのはずばり 「腰デバイス」! 想像するだに、果てしない道程です。

 意外にも、「腰」という字はかなりあっさりと書けました。「女」の部分が、曲線が あるのでかなり難しいと感じましたが、間違えた部分を消しゴムツールで消去して仕上げる という、かなり面倒なことをしてまで書き上げただけあって、なかなかの出来栄えです。
 マウスなら苦もなくできることに、こんなにも達成感を味わえるとは思いもより ませんでした。

 予想外にも、カタカナの曲線に相当苦労することになりました。「デ」にはかなりの 妥協が入っています。
 更に恐るべきことに、太股の筋肉が悲鳴を上げ始めました。無理もありません。 普段使っていない筋肉を使うと、翌日には直ちに筋肉痛になりますが、こんな筋肉 の使い方をしたことはこれまでの私の人生にはありません。
「ス」に辿り着く頃には、もはや気力と体力の限界に近づきつつありました。 何度となくミスを繰り返し、消しゴムツールのアイコンとの往復を続けます。
 よもや、「ス」がこれほどまでに難しい字だとは、私はこれまでに考えたことも ありませんでした。
腰デバイス

 約10分間に及ぶ悪戦苦闘の末、ついに完成したのが、左の写真です。私としては、 「バ」の曲線が驚異的な美しさを誇っていると思うのですが、どうでしょうか。 使ってみた人間にしか分かりませんが、腰デバイスで曲線を描くことは相当困難な ことです。

 何はともあれ、腰デバイスで字を書ける程度のことはできることは証明されました。 歴史上、新しい発明は最初のうちは嘲笑を浴びるものです。腰デバイスには、まだまだ 改良の余地はあるでしょう。新たな改良を待って、次なるレポートを書く予定です。




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