ちょっと「大人」してるのでこんなマリアの姿は見たく無いという方は小説のページトップまで急いでお戻りくださいませ。
軽い微睡から目覚めたマリアは腕枕をしたまま寝息をたてている大神の目を覚まさせないようにそっと身体を起こした。
薄暗がりの中で大神の隣に座り直すと眠っている大神の顔をじっと見つめた。
(隊長……。私……。)
大神の寝顔を眺めながら自問する。
(私なんかで本当によかったのだろうか……。でも……でも……私は……。)
マリアは自分のとった行動が大神にとってマイナスになるのではないかと危惧した。
しかし理性では抑えきれない感情が溢れ出る。
(……隊長。)
自分の肩を両腕で抱きしめると先程大神の腕の中で身体の隅々まで走った甘美な感覚が蘇って来てマリアは思わず声を漏らした。
「あぁ……。」
その声で大神は目を覚ました。
マリアが自分の顔を見つめていたのに気付くと微笑んだ。
「マリア……。」
この人はなんて優しく微笑むのだろう……と思いながらマリアは口を開いた。
「隊長……。すみません。」
「?」
「私なんかが隊長と。私なんかが……。」
大神はマリアの自己否定的な言葉に顔色を変えた。
「どうしてそんな事を言うんだ。」
「でも……私は隊長にふさわしい女じゃありません……。その……。」
「馬鹿!ふさわしいとかふさわしくないとかそんな事を言うな。俺はマリアの事が大切だから愛しいから抱いたんだ。それを……そんなふうに言うもんじゃないっ!」
大神の語気の強さに驚きながらも続けた。
「隊長……でも、でも私は……。」
「マリア、そんなに自分を卑下するような考え方はいけないよ。もっと自信を持って。俺が大切に想っているのはマリアなんだから……。」
大神の気持ちが自分が大神の事を想うのと同じように、いやそれ以上に自分の事をいとおしく思ってくれていると感じて胸がいっぱいになった。
「……すみません隊長。」
「もう2度と言うなよマリア。そんなに一人で不安がらずに俺を信じて欲しいな。」
そう言うと大神はマリアの瞳を覗き込んで微笑んだ。
「隊長……。」
泣き出しそうな顔で応えるマリアを大神は強く抱きしめた。
「マリア。」
「隊長……あぁ……。」
再び重ね合せられた胸の高なりにマリアは我を忘れて大神にしがみついた。
「マリア……。」
抱きしめられ心も身体も一つに解け合うように絡み合う程に。
もっともっと深く近づき合いたいと狂おしく想うマリアだった。
遠のきそうな意識の中でマリアの耳に朝の6時を告げる鐘の音が聞こえてきた。
「……た、隊長。」
「マリア……。」
「はぅ、うっ……。そろそろ部屋に戻らないと……あぁ……。」
「……マリア……帰したくないよ……。」
「だ、駄目です……隊長……はあぁ……。」
そう言いながらもマリアは大神の背に回した両腕に力を込めた。
大神もマリアの口を塞ぐ様に唇を重ねた。
その時隊員室の方から隊長室に向かって歩いて来る足音が聞こえドアがノックされた。
控えめにでもはっきりとした音で。
抱き合ったまま思わず顔を見合わせた二人だが、かなり長い沈黙の後で大神がやっとの事で返事をした。
「誰?」
「……あのぉ朝早くにすみません。さくらです。大神さんちょっとよろしいですか?」
「……さくら君?ちょ、ちょっと待っててくれ。」
大神は慌てて答えると急いで夕べ脱ぎ捨てたままになっている服を着始めた。
マリアも自分の服を拾い上げ抱え込むともう一度ベッドに潜り込みそのままシーツを被った。
大神は服を着終ると自分が通れる最小限だけドアを開けて素早く潜り抜けると後手にドアを閉めた。