はじめての夜間戦闘にもかかわらず、花組は大神の指示の元、
よく戦闘をこなして敵機を撃退した。
帝撃に帰還したのが明け方とあって、皆朝食も取らずに
早々に部屋に戻り、眠ってしまっている。
今帝撃で活動しているのは、米田とあやめ、大神だけだった。
その大神は、地下医務室にいた。刹那に受けた傷の手当てをしている。
「このへんかな・・・」
鏡を見ながら、慎重に消毒していく。しみるが、これは名誉の負傷。
ちっとも痛くなんかない。
あれほど自分を認めてくれなかったマリアが「隊長」と認めてくれた。
そのときの嬉しさを思い出すたびに、これからが本当の始まりなんだと
思わずにはいられなかった。
「あれ、外したか?」
鏡を見ながらの手当ては結構難しくて、脱脂綿は傷口をかすりもせずに
あさってな方向にくっついてしまう。
「ううーん、難しい・・・・・」
目を寄せながらがんばるるものの、手当ては一向に進まない。
そろそろ苛立ちはじめた頃に、そっとピンセットを取る手が
あった。
「隊長、手伝いますよ」
「・・・・あ、ありがとう。マリア」
【大神の日記】
6月某日
昨日は、はじめての夜間戦闘で大変だったと思うけれどよく
皆耐えてくれた。マリアも無事で、怪我も擦過傷だけだった
ので安心した。
マリアの隊長の想いではつらいものだけど彼女にはそこに
とらわれず、進んでもらいたいものだ。
肩の傷が完全にふさがらないので、腕の上げ下げがつらいけど
マリアたちがまめに手伝ってくれるので、仕事には支障はない。
もうすぐ七夕とかで、帝劇で企画を考えてるみたいだし、
またモギリの仕事が忙しくなりそうだ。
「隊長」という呼び名にふさわしい隊長になりたい。
もう「隊長失格です」なんていわれるのはごめんだ。しっかりした
隊長になって、帝都を守りたい。
今日からが本当の花組隊長の就任と思って、気を引き締めなければ。
(大神パート2・了)