3.チューンナップ&ワクシング・テクニック


(1)グライドゾーンの工程

d.ベースワックス工程

[説 明]
 ここではシーズン中、特にレース前のベースワックス工程について説明します。スキーからしみ出してくるワックスの量をコントロールするための工程です。アイスバーン上などを滑走する時にできる滑走面の毛羽立ちを抑制する役割もあります。

工     程
概          要
備   考
9. ホットワクシング  ベースワックスの上にワクシングするレースワックスより、ワンランク固め(高融点)のワックスを選択し、そのワックスが煙を立てることなく、スムーズに溶ける温度にアイロンを暖めます。ワックスをアイロンに押し当て、溶けだしたワックスを滑走面の溝を挟み、両サイドに滴らせます。
 アイロンを滑走面に押し当て、
ワックスを液状に溶かし、均等に伸ばしていきます。このときアイロンを一カ所で止めたり、局所的に熱がこもってしまうことのないように(特にトップ、テール部の厚みの薄いところ)、アイロンを動かします。
 ワックスが白く固まる前に、サイドにたれたワックスはマルチスクレーパーで、溝のワックスはマルチスクレーパーやグルーブスクレーパーで削り取ります。
 滑走面のスクレーピングは、ホットワクシング後室温で1時間以上冷やしてから行います。
・滑走面の融点は約130℃とのことです。滑走面がこの温度に達することのないよう、細心の注意が必要です。
・アイロンで滑走面を加熱すると、滑走面の組織に隙間ができ、ワックスが浸透しだします。
・アイロンの角を、滑走面上で滑らせるようにすると、滑走面にワックスを垂らしやすいようです。
・ベースワックスの選択については、レースワックスと併せ、「グライドワックスの選択」で紹介します。
10. スクレーピング  スクレーパーシャープナーやサンドペーパーなどで、直角に目立てをしておいたアクリル製のプレキシスクレーパーで、滑走面のワックスをトップからテールに向かい、削り取っていきます。力を入れすぎると滑走面を痛めてしまうので、適度の力で何度かに分け、徐々に削り取っていきます。
 ワックスが固まる前に、サイドにたれたワックスはマルチスクレーパーで、溝のワックスはグルーブスクレーパーあるいはマルチスクレーパーで削り取ります。
・プレキシスクレーパーには、たわみの少ない厚めのものが良いです。
・薄くワックスが残っている程度(7、8割程度のワックスを削り取る)のスクレーピングで良いと思います。削り取ったワックスに黒い削りカスが混じっているようであれば、それは滑走面を削っています(滑走面が黒色の場合)。
11. ブラッシング  ボアブラシ(ミックスブラシ)を使い、トップからテールに向かい滑走面、ストラクチャー内部に残ったワックスを掻き出します。滑走面に光沢がでるまでブラッシングしてください。
 続いてナイロンブラシで数回、ブラッシングしてください。
・滑走面にワックスが残っていると、そこは光の加減でくすんだ感じに見えます。色々と角度を変え、滑走面を観察してみてください。すぐに違いがわかるようになります。
・(SWIXの場合)ミックスブラシ(ボアブラシ)でストラクチャー内のワックスを大まかに掻き出し、残ったワックスを細かい毛先のナイロンブラシで掻き出すイメージです。
12. 拭き取り  研磨剤の入っていないファイバーテックス(ポリッシュ)に続き、ファイバーレーンなどで滑走面に残ったワックスの粉やゴミを拭き取ります。
 


(2005年 1月 29日 (土)更新)