3.チューンナップ&ワクシング・テクニック


(3)グリップゾーンの工程

c.ワックス処理

[説 明]
 ベース処理の終わったスキーに対し、実際にワックスを付着させるのがこのステップです。グライドワックスでは十分に染み込ませたものが滑走とともに次から次へとに染み出してくるのに対し、グリップワックスでは塗ったものが滑走とともに雪面との摩擦により徐々に消耗していくイメージです。ですからグリップワックスの場合、時間とともに変化する雪質を予想し、厚みを持たせて塗り込むことになります。
 実際のトップワックスは当日の朝、会場で、ワックスの選択・塗りと試走をくり返し、(予想した)レース時の雪質に合うよう微調整します。この時、固め(低雪温用)→柔らかめ(高雪温用)のワックスの順に微調整していきます。
 雪質に合わせたワックスを選択(グリップワックスの選択)した後、ハードワックスの場合は、ベースワックス→セカンドワックス→トップワックスの順、クリスターワックスの場合は、ベースワックス→トップワックスの順に塗っていきます。

工     程
概          要
備   考
2. ベースワックス [ハードワックス]
 ベースワックスをグリップゾーンに薄くこすり付ける要領で塗っていきます。次に暖めたアイロンで薄く均一に伸ばし、スキーが冷えるまで放置します。

[クリスターワックス]
 ベースワックスをチューブから押し出し、グリップゾーンに「ハ」の字をいくつも書くように薄く塗っていきます。次に暖めたアイロンで薄く均一に伸ばし、スキーが冷えるまで放置します。
・ベースワックスはスキー面と、この後重ね塗りするワックスの間で接着剤のような役割を果たします。
3. セカンドワックス [ハードワックス]
 選択したトップワックスより1段階程度固め(低雪温用)のセカンドワックスをベースワックスの上に薄くこすり付ける要領で重ねて塗っていきます。次に暖めたアイロンで薄く均一に伸ばし、スキーが冷えるまで放置します。
・グライドワックスの場合と違い、プレキシスクレーパーでワックスを剥がす必要はありません。
4. トップワックス [ハードワックス]
 選択したトップワックスをグリップゾーンに薄くこすり付ける要領で塗っていきます。次に合成コルクで薄く均等に伸ばしていきます。トップワックスを塗る、コルクで伸ばす、これを4〜6回くり返し、重ね塗りして仕上げます。
 サイドにはみ出したワックスはマルチスクレーパーで、溝内のワックスはマルチスクレーパー、グルーブスクレーパーあるいは合成コルクのサイドで取り除きます。


・コルクで熱を帯びるくらいにこすり、きれいに伸ばすことが大事です。これを怠ると、滑走時、ワックスとの摩擦で雪が水となり、それが凍結してしまいます。ひどい時には、グリップゾーンに雪氷の固まり(ダンゴ)ができ、滑走性(ここまでいくともはやグリップが良いとは言わないでしょう)が著しく損なわれることになります。
[クリスターワックス]
 選択したトップワックスをチューブから押し出し、グリップゾーンに「ハ」の字をいくつも書くように薄く塗っていきます。
 次に手のひらやマルチスクレーパーで均等に伸ばしていきます。これを2〜3回くり返すことでワックスの厚さを調節し、仕上げます。
 サイドにはみ出したワックスはマルチスクレーパーで、溝内のワックスはマルチスクレーパー、グルーブスクレーパーあるいは合成コルクのサイドで取り除きます。


・ワックスが固い(低雪温用)時は、携帯バーナーなどを使って、ワックスを柔らかくしてから、伸ばします。
・複数のワックスをミックスする場合は、それぞれのワックスで書く「ハ」の字の数で比を調整します。例えば、Aワックス:Bワックス=1:1の場合、A、Bワックス交互に「ハ」の字を書きます。


(2005年 1月 29日 (土)更新)
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