3.チューンナップ&ワクシング・テクニック |
(3)グリップゾーンの工程 |
ここでは、ワックスタイプの歩くスキー、クラシカルスキーのグリップゾーン処理について紹介します。
グリップゾーンの役割、そのグリップのメカニズムは次のようなイメージです。キック時に大きな加重がアーチベンド(弓状の曲がり)中央部にかかると、ベンドが戻り雪面に接します。この時、グリップゾーンに雪をキャッチする雪質に合ったワックスが塗られていると後方に押し出すキック力の反作用として、スキーは推進力を得ることになります。キック後は、グリップゾーンへの加重が小さくなるので雪面に対するグリップ力が失われ、前後のグライドゾーンで滑走するイメージです。
体重とベンドの固さから決まる標準のグリップゾーンは、平らな床面の上でスキーを履き、片足に全体重をかけた時、床面とスキー中央部にハガキ1枚程度の間隙ができる範囲です。キック力が強い上級者では、標準より狭い範囲がその人にあったグリップゾーンとなります。またハードワックスよりグリップ力の強いクリスターワックスを塗る場合も、グリップゾーンは前後に合計5〜10cm程度狭くなります。このようにグリップゾーンは、体重、ベンドの固さ、キック力、雪質とワックスの摩擦抵抗の大きさによって変わります。グリップゾーンを長く、特に前方に取りすぎると、グリップが利きすぎ滑走性が損なわれます。逆にグリップゾーンが短すぎると、滑走性は良いもののグリップ力不足となり、特に登坂ではスリップのため苦労することとなります。滑走性とグリップ性、相反する特性をバランスさせる妙、これがクラシカル(、ワックス)のおもしろさです。最近では、ベンド測定器を用いてその人にあったグリップゾーンをアドバイスしてくれるサービスも、ショップによっては行っているようです。
工程のポイントは、雪質にあったグリップワックスをスキーのグリップゾーンに、滑走距離に対し持続して付着させるかということです。手間がかかりますが、滑走のたびにベース処理からクリーニングまでの工程を、グリップワックスの選択と併せ、手を抜かず行いましょう。普段の積み重ねがないと、本番では失敗してしまいます。以下に、グライドゾーン処理、およびグリップゾーンのクリーニングに続く作業を説明します。スタビライザーサポートやバイスなどでスキーを固定すると、効率的に作業が進めることができます。
a.全体工程
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