無酸素性作業閾値(AT)


 1964年に Wassermannら1) は、「漸増負荷運動時、無酸素性代謝により上昇し始める血中の乳酸濃度は、換気量増加を促し、必然的に二酸化炭素の産出が増える」という基本的な概念に基づき、漸増する運動負荷に対し、血中乳酸濃度や換気量・二酸化炭素排出量が線形増加から急増し始めるポイントを無酸素性作業閾値(AT: Anaerobic Threshold)と定義しました。当初Wassermannらは、血中乳酸濃度の急増ポイントであるLTと、換気量・二酸化炭素排出量の急増ポイントであるVTが一致すると考えていましたが、近年では両者は必ずしも一致しないと考えられるようになってきました。
 徐々に運動強度を上げていくと有酸素的エネルギー供給機構に加えて、無酸素的エネルギー供給機構が働き始めるポイントを、最近では「概念的に」ATと読んでいるようです。また、限定した測定に基づく場合は、HRT、LT(OBLA)やVTという具体的な呼び方が用いられるようになってきました。
 主観的指標(RPE)では、ATは13〜14に対応するようです2)

 次の「実際のトレーニング」では、ATという表現は使わず、より具体的な呼び方を用いることにします。

1) K. Wassermann and M. B. McIlroy, Am. J. Cardiol., 14, 844, 1964.

2) 前河洋一編著, 21世紀のマラソントレーニング, ランナーズ, 22, 2002.

(2005年 1月 29日 (土)更新)
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