(1)運動強度指標−心拍数指標


最大心拍数(HRmax)、心拍水準(%HRmax)

 運動負荷の上昇に伴って増加する心拍数を運動強度の指標とすることが可能です。運動負荷を上げていき、もうこれ以上がんばれない時の心拍数が最大心拍数(HRmax)です。運動中の心拍数は、心拍計で測定します。下図の自転車エルゴメータでの実測例では、HRmaxは190(bpm, 拍/分)です。実測以外でも次のような式を用いた計算から、最大心拍数(HRmax)を大雑把に推定することができます。

  [最大心拍数(HRmax)]=220−[年齢](トレーニングを重ねている人では、210−[年齢])
  [最大心拍数(HRmax)]=204-0.69×[年齢]
  [最大心拍数(HRmax)]=214−0.8×[年齢(♂)]、または 209−0.7×[年齢(♀)]
  [最大心拍数(HRmax)]=1.1×[安静心拍数(HRrest)]+115

 最大心拍数は、性差、年齢、トレーニング履歴などによって異なります。これらの影響を消した使い勝手の良いトレーニング強度指標として、最大心拍数に対する相対強度である心拍水準(%HRmax)が使われます。下図の例で、80%HRmaxの運動負荷は、トルク2kgに相当します。


外岡立人、心拍トレーニング−その理論と実際 改訂版、えい出版、1993.

心拍余裕(HRR: Heart Rate Reserve)

 心拍余裕(HRR)は、最大心拍数(HRmax)と安静心拍数(HRrest)の差です。心拍余裕は、トレーニングを重ねると大きく、一方加齢に従い小さくなります。目標心拍数は、カルボネン方程式(Karvonen Formula)を用いて次のよう計算されます。

  [目標心拍数]=[心拍余裕(HRmax - HRrest)]×[運動強度(%)]+[安静心拍数(HRrest)]

心拍性作業閾値(HRT: Heart Rate Threshold)

 運動負荷を上げていくと、心拍数も直線的に増加しますが、ある点(変曲点)から直線関係が失われます。また、一定負荷・スピードの運動を継続し、徐々に負荷・スピードレベルを上昇していくと、ある負荷・スピードで、それまで1、2分で安定していた心拍数の定常性が失われます。この変曲点・定常性が失われる心拍数を心拍性作業閾値(HRT)と言います。HRTは、テスト種目(ランニング、自転車など)で変わってくるので、トレーニングしたい種目でテストするようにして下さい。

【コンコーニ・テスト(Conconi Test)】
○トラック走の場合
 ウォーミングアップ後、心拍計を装着し、100m(あるいは200m)ごとに1〜2秒ずつスピードアップし、これ以上加速できないというところで終了です(通常2000〜3000m、10〜15分程度)。スピードと心拍数の関係をグラフにし、HRmax、HRTを求めます。右図の例では、HRmaxは168(bpm)、HRTは155(bpm)となります。
○トレッドミルの場合
 トラック走より簡単です。2分ごとに時速0.5〜1kmずつスピードアップし、これ以上加速できないというところで終了です。トラック走同様、スピードと心拍数のグラフから、HRmaxとHRTを求めます。
○自転車エルゴメータの場合
 60(rpm)のスピードを維持しながら2分ごとに10W程度ずつ負荷を増やしていきます。60(rpm)のスピードが維持できなくなったら終了です。負荷と心拍数のグラフから、HRmaxとHRTを求めます。

 いずれの場合も、測定の精度を上げるには、データ数が必要ですので、入りのスピード(ゆっくり)・負荷が重要です。

ランニング学会編、今日からはじめる実践ランニング読本、山海堂、2001.

【その他の測定】
○トレッドミルの場合
 一定スピードで6分程度運動継続します。一度心拍数を下げた後、スピードを上げ繰り返します。スピードがゆっくりの時は1、2分で心拍数は安定しますが、あるスピードから、心拍数は時間とともに上昇しだします。定常性を認める最終スピード時の心拍数がHRTです。

○自転車エルゴメータの場合
 トレッドミルと同様に、一定負荷で6分程度運動継続を徐々に負荷を上げながら、繰り返します。右の例ではHRTは155(bpm)となります。

外岡立人、心拍トレーニング−その理論と実際 改訂版、えい出版、1993.

(2005年 1月 29日 (土)更新)
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