作業閾値

心拍性作業閾値(HRT)

運動負荷を上げていくと、心拍数も直線的に増加しますが、ある点(変曲点)から直線関係が失われます。また、一定負荷・スピードの運動を継続し、徐々に負荷・スピードレベルを上昇していくと、ある負荷・スピードで、それまで1、2分で安定していた心拍数の定常性が失われます。この変曲点・定常性が失われる心拍数を心拍性作業閾値(HRT: Heart Rate Threshold)と言います。HRTは、テスト種目(ランニング、自転車など)で変わってくるので、トレーニングしたい種目でテストするようにして下さい。

1) コンコーニ・テスト(Conconi Test)

a) トラック走の場合

ウォーミングアップ後、心拍計を装着し、100m(あるいは200m)ごとに1~2秒ずつスピードアップし、これ以上加速できないというところで終了です(通常2000~3000m、10~15分程度)。スピードと心拍数の関係をグラフにし、HRmax、HRTを求めます。下図の例では、HRmaxは168(bpm)、HRTは155(bpm)となります。


ランニング学会編、今日からはじめる実践ランニング読本、山海堂、2001.

b) トレッドミルの場合

トラック走より簡単です。2分ごとに時速0.5~1kmずつスピードアップし、これ以上加速できないというところで終了です。トラック走同様、スピードと心拍数のグラフから、HRmaxとHRTを求めます。

c) 自転車エルゴメータの場合

60(rpm)のスピードを維持しながら2分ごとに10W程度ずつ負荷を増やしていきます。60(rpm)のスピードが維持できなくなったら終了です。負荷と心拍数のグラフから、HRmaxとHRTを求めます。  いずれの場合も、測定の精度を上げるには、データ数が必要ですので、入りのスピード(ゆっくり)・負荷が重要です。


2) その他の測定

a) トレッドミルの場合

一定スピードで6分程度運動継続します。一度心拍数を下げた後、スピードを上げ繰り返します。スピードがゆっくりの時は1、2分で心拍数は安定しますが、あるスピードから、心拍数は時間とともに上昇しだします。定常性を認める最終スピード時の心拍数がHRTです。

b) 自転車エルゴメータの場合

トレッドミルと同様に、一定負荷で6分程度運動継続を徐々に負荷を上げながら、繰り返します。下の例ではHRTは155(bpm)となります。

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外岡立人、心拍トレーニング-その理論と実際 改訂版、えい出版、1993.