(2)トレーニングの実際


運動強度指標の選択

 これまで心拍数指標呼気ガス指標血中乳酸濃度指標主観的指標、それらと無酸素性作業閾値の関係を説明してきました。競技において記録向上を目指すには、指標に基づいて客観的に定量設定される強度のトレーニングを導入し、計画的にレベルアップしていく必要があります。この観点での指標は、心拍数指標、呼気ガス指標、血中乳酸濃度指標の3つです。下表にそれぞれの長所、短所をまとめます。また、健康の維持増進が目的なら、主観的指標による管理でも十分かもしれません。

 毎日のトレーニングにおいては、「心拍数指標」が最も現実的・直接的な指標だと思います。トレッドミル走などで、まず、ランニングスピードと酸素摂取量や血中乳酸濃の関係を測定しておき、日常は、「呼気ガス指標」や「血中乳酸濃度指標」に基づくランニングスピードでのトレーニングが可能なら、それは間接的ながら、「呼気ガス指標」、「血中乳酸濃度指標」を導入したトレーニングとなり得ます。例えば、vVO2は、酸素摂取量(VO2)に対応するランニングスピード(m/分)を表します。
 トレーニング時のランニングスピードを把握するには、あらかじめ距離の分かっているトラックコースなどを用いるか、腕時計形GPS(例えば、Garmin社Forerunner201)などを装着しランニングスピードをモニターする必要があります。 

心拍数指標
呼気ガス指標
血中乳酸濃度指標
長 所
・心拍計(ハートレートモニター)装着による被験者の肉体的・精神的負担は小さい。
・リアルタイム計測が可能。
・比較的安価。
・研究例が多く、無酸素・有酸素的エネルギー供給機構との関係も合理的に説明されている。(ただし、必ずしもLTと一致しない) ・研究例が多く、無酸素・有酸素的エネルギー供給機構との関係も合理的に説明されている。(ただし、必ずしもVTと一致しない)
短 所
・競技種目によってHRTが異なる。
・HRTの屈曲点が現れないこともある。
・無酸素・有酸素的エネルギー供給機構との関係に不明瞭な点が多く、HRTは、LTやVTに比べて、高い値となりがち。
・トレッドミルや自転車エルゴメーター、呼気ガス分析器など、大がかりな装置が必要となる。
・最近では、トラックやロードでも使用可能な携帯型のガス分析器があるが、それでも少なからず被験者の負担となる。
・指先や耳たぶから微量の血液を採る必要があるため、被験者の負担となる。
・体調によってLTが変わる。
・測定に時間がかかり、トレーニングしながらのリアルタイム計測には不向き。


(2005年 1月 29日 (土)更新)
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